少しくらい、俺のこと見てくれてもええんやで？〈3〉【宮治】

見えない感情 ページ37

.

Aside






「「全治2週間！？」」





その日の放課後。


一番最初の話題はもちろん治のことで。




全治2週間の捻挫。


そう病院で診断されたらしい。





治「ちっちゃい子どもが目の前で足滑らしよったんです。咄嗟のことでよう覚えてないんですけど、気づいたら階段から滑り落ちてました。」





ほんますんません
そう申し訳なさそうに話す治に、胸がぎゅっとなった。



チームに申し訳ない、その感情はよく見える。


だけど逆に、それ以外の感情が見えなくて。





北「2週間ということは、試合は厳しいですよね。」



監「せやな、1週間後の代表決定戦には間に合わへん。急やけど、治なしで、チーム組み立て直すで。治ははよ復帰することだけ考えたらええ。」



治「はい。」



監「今日はゆっくり家で休み。」





そんな監督のひと言で、
治は挨拶をすると、そのまま踵を返した。


部室だけ寄って帰るわ、と角名に告げる治の後ろ姿から目を離せないでいると。





アラン「A、ちょお治のこと見とってくれへんか。校門まで見送るだけでええから。」





心配そうに眉を下げるアランさんと、同じ気持ちだった。



だって、何か変なんだ。


侑からの罵声にも、
おう、せやな、くらいしか返さなくて。





体育館を出て、部室に向かう治の背中をそっと追いかける。



先に治が部室に入り、
その開きっぱなしのドアから、顔を出して声をかけようとした時だった。





────バン！！ガタガタン！！！





部室の中を覗く直前、聞こえてきた大きな物音に思わず肩を揺らす。


恐る恐る顔を覗かして見れば、さっきまで治が持っていた荷物が散乱してて。


その光景に、呆然としていると。





治「………何のようやねん。」



A「……あ、……」





いつかに聞いたような彼の低い声ともに、
鋭い瞳と視線が絡んだ。





.

役立たず→←遅刻1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す