白濱くんが呼び捨てをしない理由。【3】

カフェオレと帰り道気 ページ48

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Aside






亜嵐「あと少しでバイト終わるからちょっと待ってて」



A「……は、い」





私の目の前にカフェオレを置いた白濱くんは
そう言ってお店のバックヤードへと消えていった。



一応返事はしたけど、
内心はいろいろと混乱中。





……何故だ。



なんで私は今
白濱くんのバイト先のカフェで呑気に座ってるんだ。



あの後白濱くんが出会い求めてるっていう友達を呼んでくれて
合コン行かなくてよくなったのは安心したけども。




こんな展開、知らない。





友達がいなくなったあと
お礼を言って帰ろうとしたけど、白濱くんはそれを許してくれなくて。





亜嵐【Aちゃんのことだから、進んで合コンなんて行こうとしたわけじゃないだろうけどさ。】



A【……】



亜嵐【別に、良心で助けたわけじゃないからね。】





やや不機嫌気味な声で、そう言われた。





……冬馬のことだよね。


ああ、何言われるかな。



あいつ見返そうって始めたことなのに、なんで俺に言わないの、とか？





落ち着かないままカフェオレをちびちび飲んでいると
お店の端から、お疲れ様でした、って声が聞こえた。



白濱くんの声ぽいな、って思ってると
数分後、私服に着替えた彼が私の前に現れて。





亜嵐「おまたせ。帰ろ。」



A「うん……」





ごちそうさまです、って店長らしき人に声をかけてから
ふたりで一緒にお店を出た。



駅に向かうのかと思えば、白濱くんは反対方向に歩き出す。





A「え、帰るんじゃ……？」



亜嵐「うん、帰るよ。……でも電車は乗らない。歩こ。」



A「え」





私たちがいるところは家の最寄り駅の隣の駅あたりだから、
歩いて帰ったからってさほど大変なものではない。



だけど、気持ち的に早く家に着いてしまいたいと思う自分がいた。



その心を見抜いているかのように、白濱くんが口を開く。





亜嵐「……ゆっくり帰りながら、ちょっと話そうよ。」





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