白濱くんが呼び捨てをしない理由。【3】

ズバッと ページ42

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Aside





体育祭の片付けも終わり
生徒も半分以上が帰った頃。



私と冬馬は屋上にやってきていた。



体育祭だったこともあり
今日の部活は休み。





用があると言ってきたのは冬馬だから
彼から口を開くのを私はじっと待っていた。





冬馬「…結構前にさ、俺、お前と別れたの後悔してるって言ったの覚えてる？」



A「…なんとなく。」



冬馬「だから、その…さ……」



A「なに？」



冬馬「……俺と、より戻す気ない？」



A「…は、」





まさかとは思ったけど
本当にそんな言葉がくるとは思ってなくて。


一瞬の間
私はフリーズ状態に陥る。





……そうだ
元はと言えば、白濱くんと話すようになったの
も、これのためだった。



目の前の相手を見返してやるためにしていたことが、
いつの間にか白濱くん中心に考えていて。



夏祭りの浴衣選びだって、頭で考えていたのは
冬馬をどう見返すかじゃなく、どうしまら白濱くんに可愛いと思ってもらえるかだった。





目標としていたことが今起こっているのに
正直に言ってしまえば
冬馬のことなんて、もうどうでもよくて。





衝撃に駆られてる少しの間
冬馬の視線はずっと下。



まるで気まずそうな雰囲気に
ああ、なんでこんなのと付き合ってたんだろうなんて思う。





白濱くんのいつかの言葉が浮かんでくる。




……『やり直したいって告白させて、ズバッと切り捨てるんだよ』




…ズバッと、ね。





A「…私もひとつ聞きたいことあるんだけど。」



冬馬「なに？」



A「ミホちゃんとはどうなったの？」



冬馬「ミホ、って……え？」



A「…私と別れる前から付き合ってたミホちゃんだよ。」





分かりやすく彼の目が泳いだのを
私は見逃さなかった。





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