白濱くんが呼び捨てをしない理由。【3】

お見通し ページ27

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Aside






『………本当にそれだけ？』





片寄くんの言葉に
どくん、と心臓の音が大きく響く。



片寄くんの、他にも理由があるよね？と問いかけるような視線に
必死に頭を巡らせた。





え、だって……



え？



他って………





私と白濱くんが二人で帰ったりするのは、
最寄り駅とか、帰るタイミングとか
いろいろと『一緒になる』ことが多いだけ。



ふたりなのも、他に『一緒になる』人がいないからで、
もしそこに美月や片寄くんなんかがいれば
自然と4人でまとまって帰ってるだろう。





帰りが一緒になることが多い、女友達のひとり。



それが、白濱くんにとっての私のポジションでしょ………？




そこに他の理由なんて探したら、
自分にとって都合のいいことしか考えられないよ。


自惚れて期待してしまいそうで、
そんな自分が嫌で、咄嗟に甘い考えをかき消した。





A「他の理由って……？」



涼太「…言わない。」



A「え！なんで！？」



涼太「俺、そんなお人好しじゃないし。」



A「わけわかんない……」



涼太「悩め悩め。笑」



A「さっきは気にすることないって慰めてくれたのに。」



涼太「あれとこれとは別。」





さっきとは打って変わって
イタズラな笑みを片寄くんは浮かべた。



これ以上聞いても無駄だと感じた私は
さっきとは別のモヤモヤしたものを頭に残しながらも、詮索を諦める。





………ていうか、





A「……なんで白濱くんのこと……！？」





え、私1回も名前出してないよね！？




驚きながらそう聞けば、
整った眉が軽く8の字になった。





涼太「…まあ、なんとなく察するよね。笑」



A「え、どこまで分かって……？」



涼太「とりあえず、恋する女の子のAちゃんは、昨日の白濱くんのイケメンな行動にモヤモヤして、今日気まずくてふたりで弁当食べるのから逃げてきたんだろうなって。」



A「……」





どう？なんて確かめてくる片寄くんに
私は唖然とした。



確かめるも何も、100点満点の回答だよ。





涼太「あ、大丈夫、亜嵐くんには何も話してないからね。」




……片寄くんはやっぱりお見通しだ。





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