白濱くんが呼び捨てをしない理由。【3】

写真のふたり ページ26

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Aside






A「え、これ、いつの……」





写真の中のふたりは部活着で、背景は体育館。



ステージの前でスクイズの準備をしている私が
ステージから足をぶら下げるようにして座ってる白濱くんと楽しそうに話してる。



写っている私はすごく笑顔で
白濱くんも同じように笑顔だった。





涼太「ほら、俺、写真部だからさ。広報役として大会前の練習模様とか、たまに撮りに行ったりしてたんだよね。」



A「ああ、それなら、カメラ持って歩いてる人たまに見たことあるかも。でも、片寄くんも来てたんだ？言ってくれればよかったのに。」



涼太「だって、俺がバスケ部とかダンス部のとこ行った時、だいたいふたりとも何かに集中してるから。」



A「そうなんだ…」



涼太「んで、それは俺がこの前行った時に撮った写真。」





いい写真でしょ？なんて、自信ありげに言う片寄くん。



写っている側としてはなかなか頷きづらい気分ではあったけど、
写真の中の自分が自然体で笑ってるのがよく分かった。





涼太「Aちゃんも亜嵐くんもいい笑顔でさ。俺のお気に入りなんだ。なんかこう、ふたりの世界、的な感じもして。」





そう言われて、改めて写真を見つめてみる。



私って、白濱くんと話してる時こんな顔するんだ……。





涼太「…なんでここにひとりでいたのかなんかは深く聞かないけどさ。」



A「……」



涼太「何も気にすることなんて、無いと思うよ。」



A「え？」



涼太「……亜嵐くんさ、男女ともに仲良いけど、女子とふたりきりなんて、滅多にならないんだよ。」





知ってた？って
楽しそうに聞いてくる。



突然変なことを言い始めた片寄くんだけど、
言われてみればそんな気がした。



女子が何人かと白濱くん、なんていう場面は見たことあるけど
ふたり、っていうのはなかなか見ない気がする。



……いや、でも
私、何回かあるじゃん。





A「私、帰る時だいたい白濱くんとふたりなんだけど……」



涼太「じゃあ、他の子には滅多にないことなのに、なんでAちゃんはよくあるのかな。」



A「え？それは部活してるとこも真横だし、家も近いからで……」



涼太「………本当にそれだけ？」



A「……え？」





驚いて顔を見上げれば、
片寄くんの綺麗な瞳が私をしっかりと捉えていた。





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