HIGH&IOW〜俺が守るから〜《佐野玲於》

胸騒ぎ ページ6

.



someone's side




子供「あ！お兄ちゃん！」




見回りで、無名街を歩いていると、たまに遊んでやる男の子に声をかけられた。


俺は、膝を曲げて、そいつと目線を合わせる。




「どうした？」


子供「今日ね、キレイなお姉ちゃんに会ったよ！」


「ああ、ララのことか？」




ララは家族に人気だ。

子供たちとはよく遊ぶし、お年寄りには身体を気遣う、
そんな優しい性格が好かれる理由だろう。



…だけど、その俺の予想は外れていた。


違うよー、とにこにこしながら否定する男の子。




なんとなく、胸騒ぎがする。




「…この街の人か？」


子供「ううん。違うと思うー。なんか、女の子のこと探してた！」




僕の知らない子だったけど！って付け足す。



女の子を探していた……？

この、無名街で？



胸騒ぎが、大きくなったのを感じた。




無名街は、いろんな人が集まる。

追われていて身を隠している人や、家族を失ってひとりになった人。



もし、その女の子が誰かに追われる身の子で、
こいつの言う知らない女が、その子を追っている奴だったら……？




「その女の人、どんな格好だった？」


男の子「んーとね、髪が長くて、黒のジャケットみたいなの着てた！」


「……そっか。
教えてくれて、ありがとな。」




俺は男の子の頭を撫でた。


えへへ、と嬉しそうに笑う。




…とりあえず、実際にその女を確かめないと。


スモーキーに話すのは、確信が持ててからでいい。





俺は、今聞いたことを心の奥にしまった。




.

有力な→←いない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す