白濱くんが呼び捨てをしない理由。【2】

そんなことを言えたならば ページ46

.

Aside





亜嵐｢えっ、｣





私のつぶやきに、私が見ている方向に白濱くんも視線を移して。




白濱くんも、彼女さんと歩く冬馬を見つける。





彼女さんの腕は、これでもかというほど冬馬に絡めていて。



しかも、白地に赤系の花があしらわれた浴衣着てるの。



なんか、私が着てるのとよく似てる。




·····なんの偶然？



まあ、そんなことどうでもいいけどね。





亜嵐｢·····気になる？｣



A｢え？｣





気を取り直して歩き出すと、唐突にそう聞かれた。



冬馬のことを言ってるのはすぐに分かる。





A｢全く。｣



亜嵐｢そ？｣



A｢うん。｣



亜嵐｢無理してるなら言ってよ？｣



A｢本当に大丈夫だよ。｣





そう答えても、白濱くんは納得いってないような表情を少し見せた。




·····なんとも思ってないって何回か言ったことはあるはずだけど、
やっぱり白濱くんの中では引っかかってるのかもしれない。



私の痩せ我慢かもって。





正直、リベンジをするとは言ったけど
別にしなくてもいいかな、なんて思ったり。



確かに少しは見返してやりたいとは思うけど、
冬馬にそこまでの執着なんてもうないから。




でも、白濱くんがせっかく色々してくれたし
何より、この賭けのおかげで白濱くんとこうしてお祭り来れてるわけだし。




賭けなんてもうやめてもいいのにっていう思いと、
でも、これが無かったらもう白濱くんと関わることがなくなってくるかもっていう不安。



このふたつが葛藤してる。





なんとなく見上げた白濱くんの横顔。



すると、白濱くんはすぐ視線に気づき
ん？ってこちらに向かって首を傾げてくる。






··········賭けなんてもう、どうでもいいよ。



そんな理由じゃなくて、
白濱くんの彼女として隣を歩きたい。






·····そんなこと言えたら、どんなに楽かな。







.

ジンクス→←遭遇

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す