白濱くんが呼び捨てをしない理由。【2】

不審者？ ページ2

.

Aside





少しだけ緊張しながら入った、新しい教室。



美月とは席が離れていたけど
前後の人が友達で、なんだか退屈しなさそうな席だった。




大掃除をして、始業式をして、午後からは入学式で。


それからHRが少しあったあと、生徒は放課。




帰り際、新しい担任の先生がみんなに声をかける。





｢そういえば、○△の住宅街のところ、不審者らしき人が出たっていう噂だから、一応気をつけろよ〜。｣





……○△の住宅街。


私や白濱くんの家があるところだ。





涼太｢…Aちゃん。｣



A｢ん？｣





声をかけられて振り返れば、そこには片寄くんが立っていて。



少し心配そうな顔で口を開く。





涼太｢Aちゃんって亜嵐くん家に近かったよね？不審者の噂あるけど、帰り大丈夫？｣



A｢ああ、大丈夫大丈夫！｣



涼太｢ほんとに？部活終わる時間教えてくれれば俺送ってくよ？｣



A｢私の事送ったら片寄くんの最寄り駅通り過ぎちゃうでしょ？平気だよ。今日はそんなに遅くならないし。｣





……それに、単なる噂だし。



私がそう言えば、やっぱり心配そうな顔をしているけど、納得した様子の片寄くん。


分かった、って頷いて。





涼太｢じゃあ、何かあったら言ってね。｣



A｢うん。ありがと。｣





また明日ね、と手を振りながら、
部活に行く片寄くんを見送った。



周りがどんどん帰っていく中、急いで部活に行く準備をする。




……どうせ、また今日も白濱くんと帰ったりするんだろうな、なんて考えながら。






.

足音→←あるわけない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す