好き。…嘘、大好き。〜after story〜[佐野玲於]

おかえり ページ13

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Aside




しばらくタクシーを走らせてたどり着いたマンション。


玲於くんの部屋の前に行けば、そこには亜嵐さんと玲於くんが立っていた。


…玲於くんは立っているというより、フラフラで崩れそうになりながらも壁にも垂れてる感じ。




A｢遅くなりました！｣


亜嵐｢全然！助かったぁ。笑 てか、Aちゃんライブだったんじゃ…｣


A｢さっき飛行機で東京帰ってきたところです。｣


亜嵐｢うわ、申し訳ない！｣


A｢全然大丈夫ですよ。｣




そう笑いながら、玲於くんの部屋の鍵を開けた。


玲於くんを運んでソファーに寝かした亜嵐さん。




A｢ありがとうございました。｣


亜嵐｢いえいえ、こちらこそ。悪いんだけど、あと頼んでいい？｣


A｢もちろんです。｣




私がそう答えれば、ありがとう！ってイケメンスマイルを振りまいて亜嵐さんは帰っていった。




A｢…もう。｣




玄関で亜嵐さんを見送ったあと、玲於くんのもとに戻ってため息をひとつ。



…こんなに潰れちゃって。


東京帰って1番にしたことがこれってさ。




そんな文句を心の中で呟きながら、
ラグの上に腰を下ろす。



…気持ちよさそうに眠ってるから、
起きた時にベッドに行ってもらおう。


朝までこのまま寝そうな雰囲気なら、そってしておいて、帰ろっかな。



そんなことを考えながら目を閉じたままの玲於くんの顔を眺めた。


なんとなく彼の頬に手を伸ばしてみれば、
色白な肌はすべすべで、羨ましくなって。




すると、寝ているはずの玲於くんの手が
頬に触れていた私の手を掴んだ。




A｢…えっ………｣




驚いていると、うっすらと持ち上がる玲於くんの瞼。


その隙間から覗いた瞳が私を捉えた。




玲於｢………A？｣


A｢起きた？｣


玲於｢………なんでいんの。｣


A｢玲於くんが呼んだんでしょ？｣


玲於｢………ふーん。｣




うわ、どうでもよさそう。


また瞼閉じて。




A｢玲於くん、ちゃんとベッドで寝てね。｣


玲於｢んー…｣


A｢聞いてる？｣


玲於｢んー…｣




……ダメだこりゃ。




A｢…じゃあ私、帰るからね？｣




そう伝えて、立ち上がった。



玲於くんの手のひらの中にある手を引き抜こうとすれば、玲於くんの手に力が入る。




……え。




突然のことに戸惑っていると、眠たそうな掠れた声が聞こえてきた。




玲於｢……A、………おかえり。｣




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