好き。…嘘、大好き。【6】[佐野玲於]

逃げ出したい ページ21

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Aside





A｢……どうしよう。｣




久しぶりのテルさんの店の看板を見ながら
そう呟いた。


あれから、現地集合な、なんて
仕事みたいな感じでLINEが来て。



行かないって返しても、強制って返事が来るもんだから
行かなかったらめんどくさくなりそうだと考えた結果、今に至る。



もう行かないって宣言したテルさんのお店。


入るか入るまいか迷って、ずっとお店の前でウロウロしてる。




……何、言われるんだろう。


もし、お店の中に夏希さんがいたらどうする？


そのまま玲於くんも加えて3人で飲むことになったら、私、耐えられないよ？




A｢……｣




……やっぱり、やめよう。


そんな決断に至って、踵を返す。




すると。




A｢きゃ…っ｣


玲於｢うおっ、｣




人とぶつかってしまって。


すいませんと謝ろうとしていると、
それより先にA？、と私の名前を呼ぶ声。


驚いて顔を上げると、私の目の前に玲於くんがいた。




一気に押し寄せてくる緊張に、思わず背筋が伸びる。




A｢…お疲れ様。｣


玲於｢おつかれ。何してんの？こんな所で。｣


A｢えっと……｣




目を逸らしてみれば、分かりやすかったらしく、
帰るつもりだっただろ？なんていとも簡単に当てられて。




玲於｢ほら、行くぞ。｣


A｢わっ、……｣




肩掴んで、方向転換させられる。


そのまま背中を押されて、為す術なくテルさんのお店の中へ入ることとなった。




……どうしよう。


話す話題、見つからないよ。


今すぐ逃げ出したい。




足を進めながら憂鬱になる私とは対照的に
入ったお店の中には、




テル｢Aちゃん！！｣




私の名前を呼びながら
珍しく目を輝かせてるテルさんがいた。




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