好き。...嘘、大好き。【4】[佐野玲於]

行くな ページ5

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Aside




玲於｢いいよ、出て。｣




そう言ってくれる玲於くんに
ごめんねと断りを入れて、通話ボタンを押した。




A｢もしもし？｣


壱馬『あ、出た。』


A｢そりゃ出るよ。笑 どうかした？｣


壱馬『いや、ちょうど今仕事終わったからさ、Aが会社いるなら、一緒に行こうと思って。』


A｢それがいいかも。｣


壱馬『おっけ。じゃあ、エントランスで待ってる。』




ほんとに、必要最低限な会話。


わかった、と答えて、私は電話を切った。




玲於｢…壱馬？｣


A｢うん。エントランスで待ってくれるらしいの。｣


玲於｢そっか。｣




…あ、そういえば。




A｢玲於くん、何か言いかけてたよね？｣


玲於｢あー、それ、やっぱいいわ。｣


A｢え、いいの？｣


玲於｢大したことじゃないし。｣


A｢…わかった。｣




本人がいいって言うから、私もそれ以上は聞くのをやめた。


……ちょっと、気になるけど。




A｢…じゃあ、壱馬待ってくれてるから、私行くね。｣


玲於｢ああ、うん。お疲れ。｣


A｢お疲れ様。｣




そう告げて、荷物片手にスタジオの入口へと一歩踏み出す。





………だけど。






玲於｢…待って。｣


A｢えっ、｣




パシリと掴まれた、私の左手。



驚いて振り向けば、私の手を左手掴んだまま、足元の一点を見つめる玲於くん。



ゆっくりと上がった視線は、しっかりと私を捉えた。



いつにない真剣な眼差しに、鼓動が大きく響く。




玲於｢…行くな、って言ったら、どうする？｣




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