好き。...嘘、大好き。【4】[佐野玲於]

わがまま ページ32

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玲於side



タクシーに乗ってから5分。


俺はこの質問をしてみた。




玲於｢そろそろ眠くなってんじゃね？｣


A｢えっ、｣




なんでわかるの？とでも言いたそうな顔。




知ってるよ、酒飲んだら眠くなる癖。



こんな細かいこと知ってんのに

なんで恋愛のことは何も知らないんだろうな。



1番知りたいことは、何も知らない。




玲於｢あと10分くらいだけど、寝とけば？｣


A｢ん。…ありがとう。｣




そう言ってAは
自分のバッグ抱えて目を瞑った。


その頭を、気づけば俺は
自分の方に寄せてて。




隣からは、えっ、と小さな驚きの声。


でも本当に眠たいのか、
それ以上は何も反応しなかった。





すると。




玲於｢…？｣




突然、控え目に掴まれた、服の裾。


驚きながら彼女の方を見れば
重そうなまぶた、少し上げてて。


小さく、小さく
俺の名前を呼ぶ。




A｢……わがまま、言ってい？｣


玲於｢ん。聞ける範囲なら。｣




どうぞ？ってAの言葉を待てば
きゅっ、と俺の服の裾を握る手に
微かに力が込められた気がした。


そして、目を伏せながら
小さく呟く。






A｢……あまり、夏希さんの話ばかり、しないで……｣





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