好き。...嘘、大好き。【4】[佐野玲於]

やめられない ページ24

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Aside





水谷さんと別れて、更衣室へ。



帰る準備をしながら、さっきのことを考える。




別れ際、水谷さん
自分もライブのスタッフになったから、よろしく！って言ってたな。


知り合いが少しでも多いのは嬉しいこと。




だけど、そんなことは今はどうでも良くて。




A｢住んでる世界が違う、ね…｣




水谷さんが元カノさんに対して言ってたことが
他人事に思えなかった。




たとえば、

玲於くんが普通に街を歩くと、何もしなくても人がキャーキャー言いながら寄ってくる。


私が歩いても、何も起きやしない。




水谷さんは、きっとそういう所のことを言ってたんだ。



私だってもちろん例外じゃない。



玲於くんとは幼なじみだけど、
私はあくまでバックダンサーでしかなくて。


仕事柄そういう人たちと接することが多いだけで、一般人と何ら変わりない。


仲良くしてもらってたからわかんなかったけど
私と玲於くんの間にも、そういう違いがあるんだ。




そう考えると、一気に遠い存在に感じてくる。




だって、玲於くんの周りには
可愛い人や綺麗な人、何百もいるじゃん。


そんな中に私が紛れ込んで、彼は気づいてくれる？



限りなく可能性は低い。





ため息を付きながらエレベーターに乗る。





なんだか、自分が叶わない恋愛をしてる気がしてきた。




A｢やめたいな……｣




自然と出た、ひとこと。


だって、やめられれば
今まで通り、なにも考えずに幼なじみとしてやっていけるから。





エレベーターを降りて
エントランスに向かうと、柱の近くに数人の人影。


よく見れば隼くんたちで、
こちらに気づいて、Aちゃん！って声をかけてくれる。


私も手を軽く振りながら歩み寄ってみた。




その中に、スマホをいじってる玲於くんの姿。



その姿を見て浮かんできたのは、
さっきの自分の呟き。





やめる？


……やめられる？



玲於くんを、想うことを。





スマホの画面から目を離した
玲於くんと目が合った。


そして、私の名前を優しく呼ぶ声。




玲於｢…A。｣




その瞬間、私の心はいとも簡単に舞い上がった。







……やっぱり無理だ


やめられないよ。





やめられるわけがない





…こんなにも好きになってしまったんだから。





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