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懺悔 ページ3

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玲於side




夏希「そろそろ戻ろうよ。」




夏希のそんな言葉で、俺はAの元を立ち去った。



自販機のすぐ近くにある角を曲がる時、
ちらりとAたちの方を見れば
仲良さそうに自販機の前で飲み物を選んでいて。



はっと我に返れば、ふたりの様子に目が離せないでいる自分に気がつく。




……いやいや、あんなの気にしてどうするんだっての。





振り払うように、少し、少しだけ、歩む速さを速めた。







夏希と話しながら戻ってきた、スタジオの前。


そこで俺は、
隼の飲み物だけ買って、自分の分を買っていないことに今さら気づく。




玲於「…ちょっと、もう1回自販機行ってくるわ。」




スタジオに入ろうとしていた夏希にそう伝えて、俺は駆け足で自販機の所へ。




…いつもの俺なら、
まあ次の休憩の時に隼をパシろうかな、なんて思いついて、引き返さなかっただろうな。



自分でもそう分かっていながらも、そうしないのは、
きっと、あそこにあいつが壱馬といるから。



さっきあんなに言い聞かせてたのに、やっぱり気になってんだよ。



あわよくば一緒にスタジオ戻ろう、なんて考えたり。





間もなくして見えてきた、さっき曲がったばかりの角。



ここまで来れば、微かだけど2人の声も聞こえて。




駆け足で来たことをAに知られたくなくて、
曲がる一歩手前で一気にスピードを落とす。



そして、よし、と謎の気合を入れて
その角を曲がった。



…そこで、俺の目に入ったのは。




A「…がんばってね。」


壱馬「…さんきゅ。」




ちょうど、壱馬の手のひらがAの頭に乗るところ。



少し驚いてるようなAと
好きだ、という感情が溢れているような壱馬の顔。



そんな壱馬の手は、彼女の頭を優しく撫でてから離れて。




玲於「……っ。」




チクリと、苦しいような痛いような感覚が
胸に広がった。



壱馬に気づかれないうちに、角の死角に隠れる。




……行くんじゃなかった。




予想外にも、ショックを受けている自分。



壁にもたれ、前髪をくしゃりと掴んだ。




…ダメだ。



こんな些細なことでモヤモヤしてるなんて。



こんなことで、思い知らされるなんて。



…ダメだ………





こんなところで懺悔するなんて、ダサいけどさ。




どうしようもなく、小さく、小さく、呟いた。






玲於「…やっぱ好きだわ、Aのこと………」




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hinase613722(プロフ) - 移行おめでとうございます!(フライング気味)らな。さんのお話全部大好きです!移行楽しみに待ってますo(^o^)o (2018年10月25日 7時) (レス) id: 20d845d7dd (このIDを非表示/違反報告)
らな。(プロフ) - ど根性オレンジさん» わわ!お久しぶりです!!!(*'▽'*) コメント無いなぁって寂しくなってたところです((( 笑 頑張ります\^^/ (2018年10月24日 20時) (レス) id: 3fd04ece2f (このIDを非表示/違反報告)
ど根性オレンジ - 更新がんばってください(o´・∀・)o (2018年10月23日 22時) (レス) id: 20d845d7dd (このIDを非表示/違反報告)
ど根性オレンジ - お久しぶりです!久しぶりに来たらすっごい更新されていて一気に読んじゃいましたwwwwこれからはもうちょっと頻繁に見にこれると思います! (2018年10月23日 22時) (レス) id: 20d845d7dd (このIDを非表示/違反報告)
らな。(プロフ) - ニャンちゃうさん» どんどんもやもやしちゃってください。笑 (2018年10月23日 19時) (レス) id: 3fd04ece2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らな。 | 作成日時:2018年9月30日 0時

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