もし俺が好きって言ったらどうする？[佐野玲於]

誰だっけ？ ページ3

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A「すみません、ありがとうございます…」




そう言って、引っ張りあげてもらい、何とか落下は防げた。




「大丈夫？」


A「大丈夫です！お騒がせしました！」




顔を覗かれて、慌てて頭を下げる。


頭を上げて、改めて目の前の男の人を見た。





………、…あれ？



どこかで見たことあるような。



いや、ある。絶対ある。



でも思い出せない。



ああもう！どこだっけ！？




女子が羨ましがりそうな白い肌。


胸元に掛かってるサングラス。


服装からして、プロデューサーぽくない。




「……何？」


A「あ、いや、あの、どこかでお会いしたことありますか？」


「え、ナンパ？」


A「ち、違います…！」




慌てて言うと、冗談だよ、と軽く笑われる。


なんなんだよもう。




「あんた、名前は？」


A「え、ナンパですか？」


「こんなとこでナンパするヤツいるの？」


A「ですよね…」




ごもっともです、すみません。




「…で？」


A「へ？」


「名前。」


A「あっ、今日からアシスタントディレクターの見習いの、篠原Aです」



「………、へえ。」




え、聞いといてそれだけですか。





「んじゃ。」


A「あ、あの」



この場を立ち去ろうとする彼を引き止めた。


だって、こっちだけ名前教えるなんて、不公平だもん。


この人の名前知ってる気もするんだけど。




A「その、お名前は…？」


「ああ、あとでね」




……は？あとで？


どういうこと？




今度こそ、彼はこの場を立ち去ってしまった。





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