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その少女の過去にて、 ページ18

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『母さん、父さん、楽しかったね!』

昔から超人気モデルと俳優の両親が、珍しく旅行に連れて行ってくれた中学一年生冬の日。

私は二人の心境に気づくべきだった。

あの二人がどれだけ辛い思いで、仕事をしていたのか。

人前に出て演技をする仕事がどれほど大変だったのか。

ちゃんと知っておくべきだったのだ。

母「ねぇA、これからは今まで遊べなかった分いっぱい遊ぼうか。」

『え、いいの!?』

母「もちろんよ、ねぇパパ?」

父「あぁ、そうだな。グルッペン君たちには沢山お世話になったから、お礼もしなきゃな。」

『んふふ、嬉しい!母さん、父さん大好き!!』

なぜ急にあんなことを言い出したのか。

その日の帰り道、三人で海に寄った。

あの水族館の近くの海だ。

『また水族館、行きたいね。』

二人の手を握りしめて言う。

母「そうね。…A、海に入ろうか。」

母さんは悲しそうに笑った後、そう呟いた。

その時初めて私は二人の様子がおかしいことに気づいた。

父「これでずっと三人でいられるからな。怖くなんかないさ。」

『母さん、?父さん、?ふ、二人共どうしたの、?』

二人の瞳にはもう何も写ってはいなかった。

それが最後に見た両親の姿。

私は二人に引っ張られるようにして、海に飛び込んだ。

寒い。

怖い。

暗い。

いつの間にか二人の手は離れていて、私は一人ぼっち。

母さん、父さん。

呼んで見るけど声は出なくて。

肺の中に入る海水がどうしようもなく痛くて。

たまたま通りかかった人が助けてくれたけど、私はただ絶望していた。

涙なのか、海水なのかわからないほど私は濡れていた。

2日ほどして、見るも無惨になった二人の水死体が発見された。

叔母さんはただただ静かに泣いていて。

私はグルッペン達に一日中抱きしめられていた。

だが、それだけでは終わらなかった。

三人で過ごした、と言うには程遠かったけど、その家に私はずっと一人で籠もっていた。

二人は超有名ということもあって、沢山の人が家の前にやってきた。

花を添えるだけの人もいたけど、大体は面白半分の野次馬や報道記者だった。

毎日毎日飽きもせず私の話を聞こうと押しかけてくる。

『二人を殺したのは、お前らだろうがッ…。』

私は遂に耐えきれず外に出た。

途端に目もくらむほどのフラッシュ。

私は思わず走り出した。

そうして着いたのは真っ暗な山の中。

『もうどうでもいいや。』

乾いた笑いの後私は身を投げた。

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病みチャン(プロフ) - みいさん» コメントありがとうございます!今はちょっと書く気力がないだけなので続編は出すと思われます!!気長にお待ちいただければ幸いです!! (9月5日 20時) (レス) id: c9823de43b (このIDを非表示/違反報告)
みい - 読ませて頂きました!めっちゃ文才ありすぎませんか?!!ちょっとその才能わけてくれませんか))そして、なんか終わってしまっていますが、終わってほしくないです!!身勝手で申し訳ありません!出来れば続編をいつか書いて頂きたいです!待ってます! (8月31日 22時) (レス) @page25 id: 85697e6a35 (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ168号 - マジすこです。更新ファイトです! (2023年2月10日 18時) (レス) @page25 id: 220c7b8121 (このIDを非表示/違反報告)
かこ - 好きッス!! (2023年2月9日 3時) (レス) id: 57de660b93 (このIDを非表示/違反報告)
すずねこ - emさんかっこかわよ (2023年1月1日 16時) (レス) @page25 id: 7959e43801 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:病みチャン | 作成日時:2022年8月15日 16時

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