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那須サイド
俺は藤井くんに電話した。
最年長だから。
ほかのメンバーにはなるべく言わないこと。
それを約束した。
金指くんとか特に。
浮所も最近ずっと長袖で、多分傷は隠れると思う。
那「うきしょー」
今日だけは目が覚めたときに
誰かいたほうがいいってお医者さんが言ってて、
浮所のお母さんは弟と妹がいるから
帰らないといけなくて…
だから今は俺と浮所だけ。
優しく頭を撫でれば、
さっきまで笑ってたこの顔が歪む。
浮所の無意識に動いた手がさっきの傷を触る。
ガーゼを取ろうとする。
那「ダメだって」
寝てる浮所に話しかける。
浮所の傷がないほうの手を握る。
さっきガーゼを取ろうとした手。
浮所はどうしたんだろう。
病んだっていうより、壊れたって言いかたのほうが
正しいのかもしれない。
那「浮所…もう完璧じゃなくても…」
浮所の閉じた瞼から涙が流れた。
泣いてる。
ボロボロ泣いてる。
寝てても泣いてる。
那「浮所?」
ちょっと肩をさすると、目を覚ました。
浮「那須くんっ…グズッハァ」
目が覚めたら呼んでくださいって言われてたから
ナースコールを押して呼ぶ。
お医者さんがすぐ来てくれた。
浮所に質問したり、点滴変えたり…
ただ頷くだけ、それでも浮所は震える手で
シーツを握りしめてた。
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作者名:やまだまや | 作者ホームページ:http://128yamada0509
作成日時:2020年6月25日 4時