Hidaka.U～たすけて～ (ページ46)

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道枝サイド

仕事が終わって、メンバーみんなで楽屋に入ると
俺のスマホに電話がかかっとった。

道「もしもし？」

知らない番号やって、
もしかしてイタズラなんかなとか
思いながら電話に出る。

弟『もしもし！俺、弟です！浮所です！』

これ、イタズラ電話じゃないんやん！！

道「何かあったん！？」

俺の焦った声に、楽屋にいる全員が
黙ってこっちを見た。

弟『兄ちゃんが首と手首切っちゃって』

道「大丈夫…なんよね？」

弟『命に危険はないです。だけど…目が覚めてから様子がおかしくて』

様子がおかしいってなんなん？
今までだって、病んどったし。。

弟『さっきまでは普通だったんですけど、ついさっき気絶したんです。そしたら…』

その先を想像できんくて、聞きたくなかった。

だけど、聞かないと助けるなんて無理やん？
口だけになっちゃうやん。

俺はスマホを耳から離さんかった。

弟『記憶喪失になって、全部の記憶が無くなりました』

道「え？…うそ…やろ？……家族は？」

弟『忘れられてました。俺も両親も妹も』

俺はスマホをなんとか持っとった。
望みがあるんやと思って。

だけどそれを聞いた瞬間、手が震えて
足のとこまで半円を描きながら落ちたんや。

スマホは床に落ちた。

涙も頬から落ちた。