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ほかの、男に、くっつきすぎ。意味を理解するのに数秒を要した。
「それって」
「嫉妬や、嫉妬。悪いか」
「悪くないです……」
中華丼の味がよく分からない。そう言えば、治くんが嫉妬を口にするのなんて初めてかもしれない。
「重いか？ 俺、結構嫉妬深い方やと思うとるけど」
「えっ、どうなんだろ……」
女友達がよく言う「彼氏が重い」とはこういうことなのか。それを口にするとき、彼女たちは大抵眉を不快そうに顰めている。だからたいそう気分を害すものだという認識だったけれど、私は別に嫌じゃなかった。
「いいんじゃないのかな、実際に害を被ったわけじゃないし。あっ、そりゃ日常生活に支障をきたすなら嫌だけど……」
初心者か、と聞き慣れた声で小さくツッコミが入る。あの片割れ、また観察してるのか。相変わらず侑くんは面白がっている。
まあ、侑くんには反論できない。私たちは片や無知、片や青春真っ盛りのはずの高校三年間、(ほぼ私のせいで)彼女ができなかった男だ。付き合ってからの歩みはひどくマイペースだと言えた。
「じゃあ、日常に支障をきたさん程度によろしく頼むわ。Aが可愛いのを知っとるのなんか、俺だけで十分や」
「……またそうやって、殺し文句を言う……！」
この男、心臓に悪すぎる。そんな甘い言葉、どこで覚えてきたのやら。
でも安心してよ、ともう一度レンゲを突き出す。
「私たぶん、治くんしか好きになれないよ」
いつもは一口しかあげないけど、今日は特別。照れ隠しだ。
「あかん、めっちゃちゅーしたい」
「……治くん、時と場所って知ってる？ここ食堂、今食事中」
「知っとるけど」
「じゃあ何かな、このお顔とお顔の距離は。……えっちょっと待ってほんとにするの、んっ」
……しやがった。しやがったよ、こいつ。当の本人は満足気に舌なめずりしている。ああもう、ほんとに！
「治くん、かっこよすぎて無理……」
丼を退けて机につっ伏す。少しずつスキンシップには慣れてきたし、私の方からも昔みたいに好きだの可愛いだの言う機会が増えた。でも治くんのこういうところ、一生慣れる気がしない。
侑くんの冷やかしも真っ赤な顔も無視して、勢いよく面をあげる。
「治くん！」
「なんや」
「私も治くんのそういう所、私だけが知ってればいいと思う！」
蜂蜜みたいにとろりとした笑みが、私を捉えて離さない。治くんがもう一度キスしてきたけれど、さては反省してないね！？
終わり
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さかき(プロフ) - mimiさん» 話数的にあと一話だけなら書けそうです。内容によっては私に向いてないかもしれないんですけど、もしよかったらリクエストとかありますか？あるようでしたらボード？にお願いします (2019年9月19日 7時) (
レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初コメ失礼します。きついです、この作品まだまだ続いて欲しいです…（ ; ; ）本当に2人とも可愛くて… (2019年9月19日 2時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 瑞稀さん» やったー！好きとか可愛いとか言って貰えて嬉しいです！治は甘え上手なイメージがあります笑番外編も楽しんで貰えたら幸いです！ (2019年9月18日 23時) (レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - あぁぁぁ！！！めっちゃくちゃ好きです！！！番外編も嬉しいですありがとうございます！！治くん甘えた可愛すぎて… (2019年9月18日 18時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - まゆ。さん» おつありです！満足いただけたでしょうか。治で書くかどうかは分かりませんが、書きたいネタはいっぱいあって私自身ワクワクしてるので、よかったらまた読んでやってください！お粗末さまでした！ (2019年9月18日 16時) (レス) id: cb48af79f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2019年8月9日 17時
