アホどもががくっついてお疲れ様でしたの会 ページ45
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宮侑という人間は顔がよくて、実力を持ったバレーボール選手だ。性格に少し難があるけれど、肝心な時は優しいし、そもそもそれが様になってしまう整ったお顔が憎たらしいというか。勉強はあまり得意ではないらしいけれど、それはご愛嬌だ。
改めて上げ連ねてみると、そのスペックの高さには目を見張るものがある。ただ、そんな彼にも一つ欠点があるとすれば、それは壊滅的なネーミングセンスのなさだと思う。
「侑、言いたいことは分かりすぎるくらい分かるんだけどさ……」
思わず角名くんが口をはさむも、双子にはツッコまないほうが賢明だということを思い出したのか、途中でやめてしまった。
あの騒動の後、私は二人に腕を引っ張られて、比較的人の少ない校舎裏に来ていた。余談だがあの場にはもちろん保護者もいたわけで、ものすごく恥ずかしい思いをした。具体的に言うと我が母は「ちょっと待ってすっごいイケメンじゃん」と興奮気味に背中を叩いてきたし、治くんのところは両親揃って「バレーと飯のことしか頭にないバカ息子ですが」と挨拶してくれた。私はそんなことないです、と恐縮するばかりだ。
だからあの場から離れるのは、むしろ有難かったりしたんだけど。「アホどもがくっついてお疲れ様でしたの会〜!」とニコニコした侑くんが発した言葉には流石に呆れた。これまでの流れは汲んでるんだけど、いやむしろ汲みすぎか?
「ようっやくか。長かったなあ」
「……あー、二人にはいろいろと気を使ってもらったみたいで、ごめんね」
本当に、角名くんと侑くんには感謝しかない。侑くんに関しては、冷やかされたから報復しようとしていたのは秘密だ。
「あほ、そこは『ごめん』やなくて『ありがとう』って言えや」
……侑くんは私の涙腺を緩ませるのがうまいのかな。けれど、確かにその通りだ。私は口角を思い切り上げて、ありがとうと言った。
「正直、こいつ面倒くさすぎて大丈夫かなって思ってたよね。治も相当だけどさ」
「そのことなんだけど、結局私は一年間治くんに弄ばれてたってことだよね?」
無言の肯定。侑くんは私に悪女だと言ったけれど、治くんのほうが狡いと思う。
「しょうがないじゃん、だってそれ以外の解決策なんてあった?」
「ああいや、責めてるわけじゃなくて。なんか悔しいなって」
「いいじゃん、お似合いだよ」
そうかな。そうなんだよな。二人がニシシと笑っておめでとうと言うから、私ももう一度ありがとうと言った。
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さかき(プロフ) - mimiさん» 話数的にあと一話だけなら書けそうです。内容によっては私に向いてないかもしれないんですけど、もしよかったらリクエストとかありますか?あるようでしたらボード?にお願いします (2019年9月19日 7時) (レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初コメ失礼します。きついです、この作品まだまだ続いて欲しいです…( ; ; )本当に2人とも可愛くて… (2019年9月19日 2時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 瑞稀さん» やったー!好きとか可愛いとか言って貰えて嬉しいです!治は甘え上手なイメージがあります笑番外編も楽しんで貰えたら幸いです! (2019年9月18日 23時) (レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - あぁぁぁ!!!めっちゃくちゃ好きです!!!番外編も嬉しいですありがとうございます!!治くん甘えた可愛すぎて… (2019年9月18日 18時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - まゆ。さん» おつありです!満足いただけたでしょうか。治で書くかどうかは分かりませんが、書きたいネタはいっぱいあって私自身ワクワクしてるので、よかったらまた読んでやってください!お粗末さまでした! (2019年9月18日 16時) (レス) id: cb48af79f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さかき | 作成日時:2019年8月9日 17時