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意識の向こうで、誰かに名前を呼ばれた気がする。私は微かに身じろいだ。
「なに……？」
「何ちゃうわ、はよ起きろや」
「うわっ！？……なんだ、侑くんか」
目を薄く開くと、そこには整ったお顔。眠気も吹っ飛んだけど、よく見たら侑くんだった。残念なような、治くんに寝顔を見られなくて安心したような。
「失礼やなー、とことん」
「ごめんって。起こしてもらったのには感謝してるよ。早く来すぎたみたいで、まだ教室空いてなかったんだよねー」
脱力してその場に座り込んだところまでは覚えている。どうやら眠気に耐え切れずに眠ってしまったらしい。侑くんがここにいるということは、朝練が終わるまで寝こけていたのだろう。
一つ伸びをして、ひざに掛けられた黒いジャージに気付く。
「あれ、これバレー部のだよね？ 侑くんの？」
「あー、治の」
頭が追い付かなかった。数秒静止した後、もう一度聞く。
「え、誰の？」
「せやから、治の」
「……はああああ！？」
「下着見えそうで危なっかしいとか言うとったで」
侑くんはニヤニヤしているが、それどころじゃない。
確かに私は膝を抱えるようにして寝ていた。でもそれを気遣ってわざわざジャージをかけてくれるの紳士すぎないか。うわあ好きだ。待って、ということはバッチリ寝顔は見られている。変な顔してなかったかな！？
「一人百面相しとるとこ悪いけど、顔真っ赤やで」
「これが赤面せずにいられるか！ こちとら恋する乙女だぞ！？」
「そんな可愛らしいもんじゃないやろ、お前の場合」
どうしよう、治くんは無意識にもっと好きにさせるから困る。
「とりあえずこれ返しに行ってくるね！ 骨は拾って」
「ええからはよいけや。ホームルーム始まってまうで」
できうる限り丁寧にジャージをたたんで、胸に抱えて走り出す。と言っても、隣の教室なんだけど。気持ちの問題だ。
「治くん！」
窓際の席に座って頬杖をついている治くんは、やっぱりイケメンだ。窓があけ放されていたから、廊下からそのまま声をかける。
「あの、これ！」
「……ああ、わざわざ返しに来てくれたん？ 使ってへんから安心してええよ」
「いや、そうじゃなくてね！？ ありがとう。その、気にしてくれて」
「次から気をつけなあかんよ。女子なんやから」
足から力が抜けて、へなへなと座り込む。きっとさっきの比じゃないくらい、顔は真っ赤だ。ああ、どこまで好きにさせるんだこの男は！
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さかき(プロフ) - mimiさん» 話数的にあと一話だけなら書けそうです。内容によっては私に向いてないかもしれないんですけど、もしよかったらリクエストとかありますか？あるようでしたらボード？にお願いします (2019年9月19日 7時) (
レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初コメ失礼します。きついです、この作品まだまだ続いて欲しいです…（ ; ; ）本当に2人とも可愛くて… (2019年9月19日 2時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 瑞稀さん» やったー！好きとか可愛いとか言って貰えて嬉しいです！治は甘え上手なイメージがあります笑番外編も楽しんで貰えたら幸いです！ (2019年9月18日 23時) (レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - あぁぁぁ！！！めっちゃくちゃ好きです！！！番外編も嬉しいですありがとうございます！！治くん甘えた可愛すぎて… (2019年9月18日 18時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - まゆ。さん» おつありです！満足いただけたでしょうか。治で書くかどうかは分かりませんが、書きたいネタはいっぱいあって私自身ワクワクしてるので、よかったらまた読んでやってください！お粗末さまでした！ (2019年9月18日 16時) (レス) id: cb48af79f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2019年8月9日 17時
