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「あれ、今朝の？」
「おっ、治ー！ 結婚式会場行きか？」
前者はともかく、後者は絶対面白がってるだろ。多分、クラスメイトだ。
治くんは特に気にしていないのか、んーとかおーとか、適当な返事を返している。私はというと、いたたまれなくて顔を伏せていた。背中、おっきいな。
治くんが器用に保健室の扉を開けると、驚いた顔で保険医の先生が出迎えてくれた。治くんが手短に状況を説明してくれて、とりあえず熱を測りましょうと言われる。
「……うわ、高熱やん」
ひょい、と体温計を覗き込んだ治くんが顔をしかめる。確かに、ここ数年はお目にかからなかったような数字だけれど、それは私が滅多に風邪を引かなくなったからだ。そこまで驚くような体温でもない。心配しすぎだよ、とスマホに打ち込んで笑ってみせた。
「どうしましょうか、もう早退する？」
先生の言葉に、少し逡巡してから頷く。今日一日、全ての授業に出ないのにはやはり気が引けるけれど、こんな状態ではどうせ集中なんてできない。さっさと帰って病院に行こう。
「俺、荷物もってくるわ」
備え付けのソファに腰を掛けて、治くんを見送る。先生が、内緒話をするみたいに私の耳元に口を寄せた。
「宮くんのこと振ったって聞いてたけど、結局デキたの？」
「！？」
「冗談、そんなに驚かなくていいでしょー？」
守屋さんって面白いね、とからから笑っている先生は、まだ大学を出たばかりのかわいい人だ。いつもの敬語が外されていて、その悪戯っぽい笑みはなんだか同年代の友達みたいだった。
「けど、女の子の喉を酷使させるのには感心しないなー。お説教しなきゃ」
お願いします、とこくこくとうなずく。必死なさまが面白かったのか、また笑われた。
「取ってきたで。校門まで送るわ」
流石の俊足、治くんはすぐに戻ってきた。少し息が切れていて、なんだか申し訳ない気持ちになって、急いでスマホに「ありがとう、ごめんね」と入力した。
「ええよ、こんくらい。俺のせいでもあるし」
「ほう。分かってるじゃないですか」
新学期で守屋さんも疲れてたんでしょう、そこに追い打ちをかけすぎです。というか、そもそも廊下のど真ん中で青春映画をするのは感心しません。――小さくなって先生のお説教を聞く治くんが可愛くて、口元が緩んだ。
「まあ、全然嫌いじゃないけどね！ 頑張れ若人！」
保健室を出る瞬間、先生のエール。手を振ってくれたので全力で振り返した。
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さかき(プロフ) - mimiさん» 話数的にあと一話だけなら書けそうです。内容によっては私に向いてないかもしれないんですけど、もしよかったらリクエストとかありますか？あるようでしたらボード？にお願いします (2019年9月19日 7時) (
レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初コメ失礼します。きついです、この作品まだまだ続いて欲しいです…（ ; ; ）本当に2人とも可愛くて… (2019年9月19日 2時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 瑞稀さん» やったー！好きとか可愛いとか言って貰えて嬉しいです！治は甘え上手なイメージがあります笑番外編も楽しんで貰えたら幸いです！ (2019年9月18日 23時) (レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - あぁぁぁ！！！めっちゃくちゃ好きです！！！番外編も嬉しいですありがとうございます！！治くん甘えた可愛すぎて… (2019年9月18日 18時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - まゆ。さん» おつありです！満足いただけたでしょうか。治で書くかどうかは分かりませんが、書きたいネタはいっぱいあって私自身ワクワクしてるので、よかったらまた読んでやってください！お粗末さまでした！ (2019年9月18日 16時) (レス) id: cb48af79f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2019年8月9日 17時
