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まず胸は大きい方がいいですかと尋ねる。てっきり侑くんは盛大に吹き出すかと思っていたが、意外と真面目な顔だった。
カフェオレを運んできてくれたお姉さんが、何を言ってるんだこいつはという顔でこちらを見る。
「そりゃ、胸はあったほうがええに決まっとるやろ!」
イケメンの下世話な発言に、お姉さんは更にぎょっとした顔になる。流石に申し訳なくなって、私はごめんなさいと言って二人分のグラスを受け取った。
「侑くん、ちっちゃい子に『サンタなんておらんよ』っていうタイプでしょ」
「は? とにかくな――」
巨乳について一家言持っているのか、侑くんが饒舌に語りだす。お姉さんは一周回って私たちの会話が気になるのか、後ろ髪を引かれるような様子で業務に戻っていった。
「侑くん、やっぱり実はモテないでしょ」
「モテる言うとるやろ、心配せんでもお前以外にこんな話せんわ」
「あっそうですか」
とにかく、男子の胸に対する熱量だけは理解出来た。ということは、治くんも例に漏れないのだろうか。自分のつるてんとしたそこを見下ろして悲しくなるが、マッサージでも試してみるかと気力を回復する。
「私ね、治くんに一目ぼれするまで全く恋愛に興味がなかったの」
「あー……せやろな」
憐れんでるいるのか、馬鹿にしているのか分からない視線。どちらにしてもろくなもんじゃない。やめろやめろ、と手を振ってそれを霧散させる。
「だからこの一年間がむしゃらだったの。でも全っ然意識してくれないというか!? そろそろ意識くらいしてほしい。そこで経験豊富そうな侑くんにご指導してほしい次第であります」
「うん、胸のせいやな」
「ガッデムッ!」
思わず拳でテーブルを叩く。カフェオレの水面が揺れた。自分のグラスだけ中身が零れないように持ち上げなて、侑くんがけらけら笑う。冗談やって、気にしてるんだよ! の応酬の後、カフェオレを一口。うん、落ち着いた。
「治くんの好みとかって、」
「んー……実は俺も知らんねん」
「何のためにここまで来たのか」
「まあ聞け。とりあえず飯や、飯を作れ」
「飯。はっ、さては治くんの食いしん坊属性を利用して……!」
「あいつはバレーボールと飯の話しかせん! せやからそれしか言えん!」
「ウィッス大佐!」
よし会計! 奢るッス! 変なテンションでレジにもつれ込む。
「は? 自分の分くらい自分で払うわ」
「侑くん、私きみがモテないって言ったの取り消すね」
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さかき(プロフ) - mimiさん» 話数的にあと一話だけなら書けそうです。内容によっては私に向いてないかもしれないんですけど、もしよかったらリクエストとかありますか?あるようでしたらボード?にお願いします (2019年9月19日 7時) (レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初コメ失礼します。きついです、この作品まだまだ続いて欲しいです…( ; ; )本当に2人とも可愛くて… (2019年9月19日 2時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 瑞稀さん» やったー!好きとか可愛いとか言って貰えて嬉しいです!治は甘え上手なイメージがあります笑番外編も楽しんで貰えたら幸いです! (2019年9月18日 23時) (レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - あぁぁぁ!!!めっちゃくちゃ好きです!!!番外編も嬉しいですありがとうございます!!治くん甘えた可愛すぎて… (2019年9月18日 18時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - まゆ。さん» おつありです!満足いただけたでしょうか。治で書くかどうかは分かりませんが、書きたいネタはいっぱいあって私自身ワクワクしてるので、よかったらまた読んでやってください!お粗末さまでした! (2019年9月18日 16時) (レス) id: cb48af79f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さかき | 作成日時:2019年8月9日 17時