強者と弱者 ページ50
「確かに人間と妖怪の力の差はあるけど、金魚姫のあの表情を見た?人間と何ら変わらないじゃない」
妖怪だの人間だの、なんら変わらないよ
ご飯食べて遊んで寝て、泣いて笑って怒って…
「それに、言ったでしょ?怖くなんかないよ。みんながみんな悪鬼なわけじゃない。確かに人間は自分より強い存在を怖がって時には武力行使で追い出そうとするけど…」
私は茨木童子の左手をとって優しく包み込む
この大きな手じゃ、私の小さな手では全部包み込みきれなかった
「…茨木童子はいつだって私のことを振り払えるのに、そんなこと一度もしようとしなかったじゃない。貴方も、優しいんだよ」
だってほら、今もこうやって私の手から逃げようとしないもの
私は微笑んだ
「私は、妖怪のこと割と好きだよ?安倍晴明の式神とか大天狗や鯉の精や金魚姫…そして、茨木童子のことも」
酒呑童子や荒川の主は、少し怖いけどね
「人が優しくするのは人だけじゃない。花を愛でるように、一期一会…命の限りある中で出会った人達を、大切にしたい人だけでも大切にしたいんだ。だから、茨木童子」
見開いている茨木童子の瞳には、私がうつっている
「貴方も、その1人だよ」
すると茨木童子は私を引き寄せた
気が付いたら、視界一面には茨木童子の服
先程私の小さな手の中にあったはずの大きな手は私の背中に回っている
手のない右腕も、私を包み込もうと動いた
一瞬だった、時間が止まったのは
青い空に浮かぶ雲はそんな2人のことを知らず、自転の回転に沿って動く
春が開けもうすぐ到来する夏の知らせかのように、あたたかい風が茨木童子の長い白銀の髪を優しく踊らす
濡れた服の上から感じるのは、茨木童子の温かさや心臓の鼓動
それは熱くて、速かった
事態にやっと頭が追いついた私は不思議と突き飛ばそうと思わなかった
むしろ…なんで喜んでるのよ、私
茨木童子の鼓動に負けじと私の心臓もうるさい
「…人間のくせに、鬼が大切だなんぞ」
62人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はぐはまさ - 麻乃さん» そう言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます、頑張ります(*´∀`*) (2017年10月9日 18時) (レス) id: 1a4672ac58 (このIDを非表示/違反報告)
麻乃(プロフ) - はぐはまささん» はぐはまささんの書かれる茨木童子かっこいいです、もっと読みたいです(*´-`*) これからも応援してますヘ(*`∀´*)ノ (2017年10月9日 17時) (レス) id: 66c6973d83 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - 麻乃さん» ありがとうございます!!!( ´ ▽ ` ) (2017年10月9日 17時) (レス) id: 1a4672ac58 (このIDを非表示/違反報告)
麻乃(プロフ) - 更新お疲れ様です!(o´艸`) (2017年10月9日 13時) (レス) id: 66c6973d83 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - 召使い丁さん» いえいえ!逆に確率アップじゃない時に出るなんて、凄いですね(°_°) ありがとうございます!! (2017年9月12日 8時) (レス) id: 1a4672ac58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はぐはまさ | 作成日時:2017年4月30日 19時