【陰陽師】女子高生と茨木童子

川遊び ページ45

私は両手で水をすくい、ニヤッと笑う

水遊びといえば…これでしょ！

「それ！」

あまり茨木童子にかからないよう、斜め上に向かってすくった水をぶちまける

それでもやはり、あたるものはあたったらしく…

「………………。」

やっべ、思いっきりかかった

茨木童子の顔が殆ど濡れてしまっていた

すると茨木童子は大きな左手に水をすくい上げたら

「うわっっっ！」

私に容赦なく水をかけた

「ちょ！服濡れちゃったじゃないっ」

「ふっ私に勝とうなど、100年早いぞ！」

茨木童子は顔中水滴だらけだが、勝ち誇ったように口角を上げる

私は負けずと両手で水を沢山すくいとって茨木童子にかける

「あ！避けないでよ！」

沢山の戦いをくぐり抜けてきた茨木童子は、私の水攻撃など豆鉄砲程度らしく…

「わざわざ当たってやるほど、優しくないからな」

「ふーんだ！負けなんだから！」

それから私と茨木童子は水合戦を繰り広げた

なんだかんだ、楽しかったのか茨木童子は顔が笑顔で溢れていた

…子供、みたいだ

初めて水遊びをした、そんな感じだ

「もー、茨木童子のせいで濡れたんだけど」

「フハハハハ！攻撃をしかけてきたのは君からだろう？だが…」

茨木童子は自分の服にかけられた水跡を見た

「私もこの通りだ」

お互い見つめ合い、同時に笑った

「ふふっ、じゃあ引き分けだね？」

「いいだろう、次は勝つがな」

強気の茨木童子に私は微笑んだ

川の周りには草が生い茂り、そよ風は優しく頰を撫でる

…さっきまでの体の重みが嘘みたい、すっかり軽くなった

水が浄化してくれたのかな？

「空気が…美味しいな」

茨木童子は私に近付き、隣に立った

「昨日と同じことを言っているぞ？」

「…悪かったわね、語彙力が皆無で」

これでも高校一年生ですよ！

言い訳の１つ２つしたいが、言葉が出てこない

もう少し勉強しとくべきだった

「ねえ、あんた達ここで何してるの？」

声がした方を振り向くと

「あんた達ビショビショじゃない！風邪引くわよ」

女の…子？

水色でショートカットで、赤くて丈の短い着物をきている女の子が、どこからか現れたのだ

この子も鯉の精みたいに、水中で生活できる方なのか

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