【水木】君は完璧なはず【ゲゲゲの謎】 (ページ5)

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「煮込む」ページ5

A視点

「すみません、店主さん。このお魚って？」

魚の切り身を手に取り、なんの魚か聞く。人魚なんて確証ないからな
間違えて、ヤバいやつ買ってもあれだし…

店主「あ？あ"っー…人魚だ。こんなの不気味な魚だよなぁ」
「へぇ…何処で手に入れたんですか？」
店主「友達から貰ったんだよ」
「不思議なお友達ですね」

聞けば、顔を歪めた店主さん。どうやらこれは正真正銘の人魚で、友達から仕入れたらしい
話を聞いたあと買うことを決めて、お会計をしてもらう。明日は煮付けだ

店主「ほんとに買うのかい？兄ちゃん」
「気になりまして…それに煮漬けにしたら美味しいんですよ」
店主「そうかい」
「いくらですか」
店主「要らないよ、駄賃は」
「ありがとうございます」

＊

家でやらなきゃいけないことは全て、終えた。人魚の魚を使った煮魚も上手くできた
今から見廻りに行くので、厚着をする。外は冷えているだろうし、暗いだろうから灯り持つ

「少し、行ってきますね」
母「気をつけてらっしゃい」
「ついでに、水木君のお迎えに行ってきますね」

水木君のお母さんに声をかけて、外に出る。やはり肌寒いし、あたりも真っ暗であった
この辺、人通りが少なく迷子や行方不明も出やすいだろう

「(もう少し、厚着をしてくるべきだったかな？水木君にも分けてやりたいし、迷子になった子達は今のところ見つからないなぁ)」

色んなところに目を向けながら、黙々と考えながら歩く。30分くらい歩いた頃ようやく、辺りが明るくなる
人通りも多くなり、ビルのようなものも見えてきた

「血液銀行…ここらへんで待っていれば水木君は来るかな」

水木君が通っていると思われる血液銀行のビルの出入り口前で、出てくるのを待つ。18:50なると、時間を指す時計の針と同時に様々な人間が出入り口から出てきた
各々の表情からは読み取れるものが沢山あった。幸せ、楽しい、疲れてた、辛い、イライラなどの感情を持った人間がぞろぞろと歩いている

「人間は大変だな」
水木「本当にそう思うんなら、御前は人間を敬った方がいいんじゃないか？」
「水木君。お疲れ様、寒いでしょ？これ着て」
水木「おう、迎えありがとうな。着とけよ、俺着せたらAが寒くなるだろう」
「僕は大丈夫。体温調節はちゃんと出来るから、それに水木君には風邪ひいて欲しくないの」
水木「…仕方ねぇな」
「ありがとう」

哀れみながら、人々を見ていればいつの間にか後ろに水木君が居た。疲れているのか、朝よりかは顔色が良くない
彼に自分が着ている上着と、マフラーや手袋を渡す
1度は拒否られたが、念を押すと大人しくした