【水木】君は完璧なはず【ゲゲゲの謎】 (ページ16)

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「行こう」ページ16

A視点

「地獄の門はここですよ」
ゲゲ郎「相変わらず、複雑じゃの」

人間界なら昼過ぎ。地獄なら夜
辺りは真っ暗で、地獄の炎だけが頼りの道を進む
今日は地獄観光をすることになった。獄卒の知り合いがいる僕は地獄を案内するのは容易いということで先頭を歩かせて貰っている

岩子「水木さん、私達から離れないでくださいね」
水木「大丈夫ですよ」
「水木君、岩子さんの言う通り。ここは、地獄だからね？人間界とは違って、上手くは行かないよ」
ゲゲ郎「そうじゃよ、強さも圧倒的じゃ」

獄卒「その為に私達が、いるんですよ」
「ん？嗚呼、張本君。久しぶりだね」
獄卒「君は本当に、変わらないんですね」

重たい門を押しながら開ける。鬼の姿をした獄卒、もとい僕の知り合いの張本君が居た
彼は穏やかな性格で、到底獄卒とは思えない
地獄へと入り、閻魔大王の元へ行く事にした。水木君のことも言わなきゃだからね

張本「で、そちらは人間ですよね」
「嗚呼、僕の知り合いの水木君だよ。哭倉村…だったかな？そこについて連絡したよね」
張本「あぁ！あの件でしたか。成程、よろしくお願いします、水木さん」
水木「っ、ああ、」
「怖がらなくても大丈夫だよ。僕達側だからね、君を危険に晒そうなんて奴ここにはいないよ」

先程よりも更に真っ暗な一筋の道を歩く。張本君の持っているランプが無ければ、ここは歩けなかっただろう
張本君は初めて会った生身の人間に興奮しているのか、目を見開きながら水木君に言い寄る
水木君はビクッとしたが、彼の差し出した手を握った

張本「私達はここを守る妖怪なのでね」
「というか、ゲゲ郎さん達は？」
張本「君らがイチャイチャしてる内に旅館に消えましたよ」
水木「旅館なんてあるんですか、…ここに」
張本「願えばなんでも出てきますよ。地獄と現世、天国の境目なので」
「欲張りすぎはダメだけどね。ある程度は大丈夫だよ」

向き直った張本君は、靴の音を鳴らしながらドンドン先へ行く。僕もはぐれないようにと水木君と手を繋いで、後ろをついて行く
いつの間にか消えたゲゲ郎さん達は僕達を置いて、旅館へいったらしい
長話をしていた気はないけど申し訳ないな

張本「閻魔大王様が、言ってたんですけど…ここら辺に"あの方"が彷徨いているらしいです。確か、龍賀家のお嬢さん…沙代さん」
「彼女が？…もしも危険があったら頼むよ」
張本「獄卒達はどの地獄にもいるので大丈夫だとは思いますが、警戒しといてください」

張本君が水木くん聞こえないくらい小さい声で、僕達に忠告をする。どうやら、死んでしまった沙代さんのことらしい