虎と馬05 ページ35
ムルムルは驚いていた。
急いで駆けつけるとその場は血の匂いが充満していた。
「エイト！！その血…Aさん怪我してるの！？」
「いや、これは僕の血だから…Aさんは見た感じ怪我はない。
今は魔力を使い果たして気を失ってるけど幻覚は解けてない」
「わかった、とりあえず寝かせて」
ムルムルが教師服の上着を脱ぎ、地面に敷くとイフリートはその上にAを寝かせた。
そして、ムルムルは軽くAの額に触れて集中する。
———
———
———
———
———
次々に繰り出される高位魔術にAの容態は落ち着いていき、眉間に寄っていた眉も次第に力が抜けて穏やかな表情へと変わっていった。
イフリートはため息をつくムルムルを、説明を求めるように見つめると冷静に口を開いた。
「幻覚は解いたからもう大丈夫…って言ってやりたいけど、心はそんなに簡単なものじゃない。いつフラッシュバックをするか分からないし、こればかりはAさんが起きて様子を見てみない事には…それよりもだ……
この子の髪…こんなに白かったけ……？」
桜のような淡い色の髪は純白のベールのように白くなっていた。
「僕も思っていた…もともと色素は薄かったけど…」
「考えられるのは幻覚のショックだけど……」
その僅かな違いに目をやっていると、ガサリと通信鬼の音がする。
———イフリート先生、ムルムル先生
「カルエゴ卿…？」
イフリートの声にムルムルも会話に集中する。
———Aの近くで侵入者の尻尾をつかみました。私とバラム先生はそちらを対処します。Aはお任せできますか？
「わかりました」
プツンと切れるとダリが口を開く。
———収穫祭も佳境…このまま続行します。
その方がこの騒ぎに乗じてAさんを誰にも気づかれず運べるでしょう。
僕は引き続き収穫祭の取りまとめをします。2人とも……
“頼みましたよ”
「運ぶって言ってもな…医務室だと誰かに接触する可能性があるし」
「精神医学準備室に運ぼう。
そこならベッドもあるし、簡単な医療器具も揃ってる。基本俺しか使ってないから接触する可能性も低い。」
イフリートは“わかった”と小さく頷くと、地面に敷かれた上着でAを包み込み、新たな若王の誕生を祝福する歓声に背を向けて飛び立った。
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あまね(プロフ) - 終わっちゃった？！？れ (12月23日 11時) (
レス) @page36 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の凉宮 - 作品もいいし、何より絵柄がド性癖 (5月31日 22時) (レス) @page36 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - ささくれさんの作品本当に面白くて読んでいて楽しいです！！ (5月15日 11時) (レス) @page32 id: eb45467fdc (このIDを非表示/違反報告)
山田ささくれ(プロフ) - はにゃ？さん» はにゃさん、こちらでもコメントありがとうございます……！！アズ君は本当に一目惚れでした……！ストックをもう少し増やしたらアップしようと思ってます！！ちょっと展開が重くなりそうで怖いですがこれからも読んでやってくれたら嬉しいです！！ (2023年2月8日 0時) (レス) id: 05f14a3afa (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ？ - アズくんの小説少ないので書いていただき嬉しいです！更新楽しみにしています！ (2023年2月6日 1時) (レス) id: ef6fdebb20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山田山本 | 作成日時：2022年12月19日 17時
