虎と馬01 ページ31
Aの現在を見る目は、小さな箱庭を見るようだった。
範囲を少しずつ広げて俯瞰してみる。
その中から見つけた入間はひどく怯えていた。
少し過去に遡る事で幻覚に侵されている事を悟る。
「助けに行かなきゃっ……」
飛び立つために、足に力を入れた瞬間だった。
「こんな時まで他者の心配とはな……」
聞きなれない低い声。
「しまっ……ッ」
入間に集中し、周りが見えていなかったAの判断は遅かった。
「オロバス様、こいつは危険なのでもっともっと深く沈めてください」
オチョは口の両端を釣り上げながら、黒い歯を見せた。
無慈悲なその言葉でオロバスはAを深く深く闇へと誘った。
「さあ、ここはオチョにお任せください。
オロバス様は他の問題児クラスの元へ…
そう、オロバス様はこれ以上近づかないで……」
そんな声を聞きながら、Aはさらに深く沈む。
———
暗く、
目の前にはリシチが立っていた。
Aは悟る。
この体の奥底に仕舞い込み、二度と呼び起こされないようにと鍵をかけた辛い過去なのだと。
そんな辛い過去が幻覚によって目を覚ます。
大丈夫。
大丈夫だ。
これは幻覚だ。
Aはそう言い聞かせるが、縛られた身体はうまく動かない。
「………いッ…」
先端から付け根につれて太くなるその針はどんどん皮膚を広げていった。
大丈夫、大丈夫。
「——————！！！！」
襲ってくる激痛とめまいで強制的に胃液が込み上げる。
「お“、おぇ………はぁ…あ…」
大じょう夫。
大じょう夫。
「やはり、貴様も欠陥品か」
大じょうぶ。
大じょうぶ。
「カトレアの命を奪った忌み子よ」
これは、現実じゃないから。
そして口走る。
———お姉ちゃんが全部“持っていった”せいだ。
だぃ、じょ…ぶ…
「はっ…」
起きるとそこは見慣れた部屋だった。
「私の……転生する前の部屋だ……」
六畳一間の狭くも広くもない部屋。
部屋の窓は木の板で塞がれ、心なしが薄暗い。
本棚には悪魔の本がたくさん並んでいる。
ベッドから降りてペタリと地面につくと心なしが目線が低い。
徐に両手を見るとやはり小さい。
(子どもの頃の私……？)
ガチャリと部屋のドアを開けるとそこには人が立っていた。
「ママ……」
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あまね(プロフ) - 終わっちゃった？！？れ (12月23日 11時) (
レス) @page36 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の凉宮 - 作品もいいし、何より絵柄がド性癖 (5月31日 22時) (レス) @page36 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - ささくれさんの作品本当に面白くて読んでいて楽しいです！！ (5月15日 11時) (レス) @page32 id: eb45467fdc (このIDを非表示/違反報告)
山田ささくれ(プロフ) - はにゃ？さん» はにゃさん、こちらでもコメントありがとうございます……！！アズ君は本当に一目惚れでした……！ストックをもう少し増やしたらアップしようと思ってます！！ちょっと展開が重くなりそうで怖いですがこれからも読んでやってくれたら嬉しいです！！ (2023年2月8日 0時) (レス) id: 05f14a3afa (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ？ - アズくんの小説少ないので書いていただき嬉しいです！更新楽しみにしています！ (2023年2月6日 1時) (レス) id: ef6fdebb20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山田山本 | 作成日時：2022年12月19日 17時
