全ての男の運命の女 ページ4
「サリ、バン……様？」
サリバンは震える唇で自身を呼ぶAに優しく微笑んだ。
「A…」
アリスは心配そうにAに近づくとふらつく体を支えるように肩を掴んだ。
「だ、大丈夫です……」
力無くそう答えると、Aはサリバンとリシチに目をやった。
サリバンを見るリシチは相変わらず無表情だが、心なしか面倒くさそうだった。
「今、Aくんの腕吹っ飛ばそうとしたでしょ〜？
「立場を分からせるだけだ、殺しはしない」
「殺さないのはカトレアちゃんに似てるから？」
サリバンの言葉に、リシチは明らかに表情を曇らせた。
「そうだ！Aくんの特別授業は僕の屋敷でやろう！それだったら今にも飛びかかりそうなカルエゴくんたちも安心するでしょう？」
そう言うとサリバンはカルエゴの後ろで唸りを上げるケルベロスに目をやった。
「勝手に決めるな」
サリバンはうんざりしたように言うリシチの耳にそっと顔を近づけると耳打ちをした。
そして一瞬目を見開くと、その揺らいだ感情を隠すように目を閉じて息を吐き、再びAを冷たい目で見た。
「家系能力については教えてやる。だがそれだけだ」
そう言ってリシチがその場を後にすると張り詰めていた糸がぷつりと切れた。
「サリバン様はリシチ公をご存知なんですか…？」
「知ってるも何も、古い知り合いだよ」
「え！？理事長と知り合いってあの悪魔いったい何歳なの！？」
リシチの見た目はどう見てもカルエゴより若く、そのギャップにリードは思わず驚きを口にした。
そんなリードを横目にAは口を開く。
「さっきリシチ公になんと言ったのですか？」
「それは内緒」
“しー”とサリバンは口元の前で人差し指を立てた。
「じゃあ、A君は明日から僕の屋敷にお泊まりだから着替えとか用意してきてね〜！」
そう言ってサリバンは嵐のように去っていった。
そのおかげだろうか。Aはいつの間にか落ち着きを取り戻していた。
「君がカトレアちゃんの子どもカ？」
気の抜けたような、のらりくらりとした声で言ったのは今までのやり取りを興味深そうに見ていたフルフルだった。
「そう、みたいです……」
「うんうん、顔もよく似てるネ！」
「母を知ってるんですか？」
「うん、カトレアちゃんはいい女だったからネ！
俺にとっても
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 423人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまね(プロフ) - 終わっちゃった？！？れ (12月23日 11時) (
レス) @page36 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の凉宮 - 作品もいいし、何より絵柄がド性癖 (5月31日 22時) (レス) @page36 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - ささくれさんの作品本当に面白くて読んでいて楽しいです！！ (5月15日 11時) (レス) @page32 id: eb45467fdc (このIDを非表示/違反報告)
山田ささくれ(プロフ) - はにゃ？さん» はにゃさん、こちらでもコメントありがとうございます……！！アズ君は本当に一目惚れでした……！ストックをもう少し増やしたらアップしようと思ってます！！ちょっと展開が重くなりそうで怖いですがこれからも読んでやってくれたら嬉しいです！！ (2023年2月8日 0時) (レス) id: 05f14a3afa (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ？ - アズくんの小説少ないので書いていただき嬉しいです！更新楽しみにしています！ (2023年2月6日 1時) (レス) id: ef6fdebb20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：山田山本 | 作成日時：2022年12月19日 17時
