始まりの朝 ページ23
収穫祭の初日。
イフリートの過酷な特訓を乗り越えたAを最大の危機が襲った。
(寝過ごしました!!)
「あっ、おはよう」
私服姿に慣れていた反面、すでに制服を身にまとっているムルムルに背筋が伸びる。
「ムルムル先生!おはようございます!!」
「もしかして緊張してる?」
「先生だなって思ったらつい…」
「今までもずっと教師だったんだけどね」
そんな会話をしている最中、Aの目線がわずかに揺らぐ。
「もしかしてエイトの事探してる?」
「あ…収穫祭前に挨拶をと思って…」
「あいつ警備教師だから、収穫祭の警備の打ち合わせで朝早いって言ってたからな、もう学校じゃない?」
“そうですか…”といい、少し残念そうな表情を見せるAにムルムルが目の覚める一言を告げる。
「Aさんも早く用意しないとね。
“先生”としては遅刻は容認できないよ?」
そう言いながら、ムルムルはAの寝癖をなおすように頭を撫でた。
「は、はい!」
特訓中に寝泊まりするための部屋として用意された一室に戻ると、急いで用意を始めた。
長い髪を簡単に一つに結び、制服に袖を通して“よしっ”と自分に気合を入れる。
(結局寝るために使った事は1度もなかったですが…)
そんな事を考えながら、名残惜しそうに部屋の扉を閉じた。
———
開始までに何とか間に合ったAは、問題児クラスを見つけるとパタパタと駆け寄った。
「遅いぞ!!」
「ごめんなさい、お兄様!」
ふわりと髪をなびかせて、駆け寄る姿はあまりにも危機感がなく、明らかに捕食される側だった。
“大丈夫なのか?”
そんな一抹の不安を覚えたアリスだったが、目の前にやってきたAはわずかに大きく見えて、一瞬でその不安は消し去った。
「Aちゃんもいい特訓ができたみたいだね!」
「入間くんも見違えました!」
“負けないよ”
Aは、そう言う入間と互いに拳を合わせ、再びアリスを見た。
「お兄様にも!負けません!!」
その時アリスの脳裏にバラムの言葉が浮かぶ。
—— もしかしたらアスモデウス君より強くなっちゃってたりして…
(やはり…バラム師の言うとおり…!
“そういう事”なのか……!!)
スタート間近。
リードが叫ぶ。
「よし!散る前に問題児クラス集合!!」
そして、円陣を組むと、リードが入間に耳打ちをする。
“そっそれ言うの!?”と動揺する入間は覚悟を決めたように叫んだ。
足ひっぱったらブッとばすぞ———ッ!!
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あまね(プロフ) - 終わっちゃった?!?れ (12月23日 11時) (レス) @page36 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の凉宮 - 作品もいいし、何より絵柄がド性癖 (5月31日 22時) (レス) @page36 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - ささくれさんの作品本当に面白くて読んでいて楽しいです!! (5月15日 11時) (レス) @page32 id: eb45467fdc (このIDを非表示/違反報告)
山田ささくれ(プロフ) - はにゃ?さん» はにゃさん、こちらでもコメントありがとうございます……!!アズ君は本当に一目惚れでした……!ストックをもう少し増やしたらアップしようと思ってます!!ちょっと展開が重くなりそうで怖いですがこれからも読んでやってくれたら嬉しいです!! (2023年2月8日 0時) (レス) id: 05f14a3afa (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ? - アズくんの小説少ないので書いていただき嬉しいです!更新楽しみにしています! (2023年2月6日 1時) (レス) id: ef6fdebb20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山田山本 | 作成日時:2022年12月19日 17時