胸焦がす01 ページ19
「
ムルムルはそう言ってどさりとソファに腰掛けて背もたれに体重をかけた。
「彼女は現在も見る事ができるから念の為ね。
で、どうだった?Aさん」
「お前が随分気に入ってるのは分かったよ」
「気になるのは確かだ。
学仔は皆等しく僕たちの宝。なのに終末日以降、彼女たった1人のために警備体制の見直しの要請がバラム先生とカルエゴ卿から入った。狙われている可能性があるってね」
イフリートは再びタバコに火をつけ、安心を求めるように煙を肺にいれた。
「ふーん、何で戦闘型のお前が感覚型の家系能力を待つAさんの特別講師なのか不思議だったけど、身を守るための術を教えてたって訳ね」
「学校にいる間は教師がいるが、学校から一歩出れば自分自身で守る必要がある。
彼女の場合は本人にその術を叩き込んだほうが早いと判断した。
僕はあの子を
“それだけじゃなさそうだけどね”
ムルムルはそんな言葉を呑み込んで、ゆらゆら揺れるタバコの煙を見ているとイフリートは再び口を開いた。
「そろそろ教えてよ。お前の魔力が空になる寸前まで見てたもの」
「あー、正確にいうと何も見てない…その前に限界がきた。
だけど“何かある”のは認知した。“
それも相当特殊な家系能力だけどもう一つ、彼女も気づいていない力があるのかもね」
その言葉にイフリートは目を見開き、パラリとタバコの灰が床へと落ちる。
「家系能力がもう一つあるって事?」
「さあ…そこまでは」
「カルエゴ卿にどう報告するべきか…」
「もう一つの力に関しては不明確すぎる。俺も自信ないし、まだここだけの話にしておこう。だからお前もAさんに席外させたんだろ?」
「……曖昧な情報で不安にさせたくはないとは思ってた」
「それより今は別の事を気にした方がいい。
彼女が“死んだ人を助けられるのか”と俺に聞いた時、左に目線をずらし、その後すぐに手を口にやって牙を隠した。
左に目線をずらすのは特定の誰かを思い出している傾向だし、牙を隠すのは何かを隠している時によくする仕草だ。
もしかしたら、Aさん…」
——生き返らせたい誰かがいるのかもな
「イフリート先生!!」
「ッ!?」
Aの叫び声で我に返ると、イフリートはAの炎に身を焼かれていた。
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あまね(プロフ) - 終わっちゃった?!?れ (12月23日 11時) (レス) @page36 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の凉宮 - 作品もいいし、何より絵柄がド性癖 (5月31日 22時) (レス) @page36 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - ささくれさんの作品本当に面白くて読んでいて楽しいです!! (5月15日 11時) (レス) @page32 id: eb45467fdc (このIDを非表示/違反報告)
山田ささくれ(プロフ) - はにゃ?さん» はにゃさん、こちらでもコメントありがとうございます……!!アズ君は本当に一目惚れでした……!ストックをもう少し増やしたらアップしようと思ってます!!ちょっと展開が重くなりそうで怖いですがこれからも読んでやってくれたら嬉しいです!! (2023年2月8日 0時) (レス) id: 05f14a3afa (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ? - アズくんの小説少ないので書いていただき嬉しいです!更新楽しみにしています! (2023年2月6日 1時) (レス) id: ef6fdebb20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山田山本 | 作成日時:2022年12月19日 17時