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拝啓、お元気ですか? ページ11

お兄様、お元気ですか?
私は元気です。


そんなメッセージを打って早数十分。
しかし、Aにそのメッセージを送る気配はない。



(やばいです!!
この二週間、お兄様に一度も連絡していません……!!)


「……"遅くなってごめんなさい"と最初につけておきましょう…」


その時、ドアをノックする音がして不意をつかれたAはそのまま送信ボタンを押してしまった。



「ど、どうぞ!」

「Aさん、朝食の準備が…」

ガチャリと開いた扉からオペラがひょっこりと顔を出した。
そしてその瞬間、ス魔ホの着信音が鳴り響く。

(お兄様からだ!)

"すぐ行きます!"と慌ててオペラに返事をすると、ス魔ホのボタンを押した。



「も…もしもし…」


——Aか!?


たった一言。

自身の名前を呼んだだけ。

しかし、Aの心をあたためるにはそれだけで十分だった。


「おに…い、さま…ッ…」


気づけば、涙が頬を伝っていた。


——泣いているのか…?


「泣いて、ません…ッ」


オペラは小さく震えるAを背中を見守りながらそっと扉を閉めた。
一方、アリスは責めるわけでも、問いただすわけでもなくただAが落ち着くその時を待っていた。


——…大丈夫か?


「…すみません……」


——いや、声が聞けてよかった


「…今日から学校に行くので、またみなさんに…」


——どうした?


Aは今思い浮かんだ感情を素直に言葉に乗せた。

「いえ…またお兄様に会えるのが楽しみです」


Aがそう言った後、少しの沈黙が流れたと思うと、しばらくして何かが倒れる音がした。


「大丈夫ですか!?今すごい音が…」







———

「だ、大丈夫だ…Aもあまり無理するなよ…ああ、…ではまた学校で…」


アリスはス魔ホの電源を切って仰向けに倒れたまま、安堵のため息をついて天を仰いだ。


「Aさん大丈夫そうだった?」

そんなアリスをバラムが覗き込む。

「…泣いていました…やはりリシチ公は許せません」

「相変わらず過保護だな〜」

「…あとは…」

「あとは?」

「わ、私に会えるのが、楽しみと…」

バラムは"ふーん"と呟き少し考え込むと口を開いた。

「もしかしたらアスモデウス君より強くなっちゃってたりして…」

その言葉にアリスの体がびくりと反応する。

「もしかして"楽しみ"とは特訓の成果を見せるのが"楽しみ"ということですか!?」

「かもね」

(違うと思うけど…)

「バラム師…もう一度手合わせ願います!」

嘘からでた誠→←過干渉02



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あまね(プロフ) - 終わっちゃった?!?れ (12月23日 11時) (レス) @page36 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の凉宮 - 作品もいいし、何より絵柄がド性癖 (5月31日 22時) (レス) @page36 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - ささくれさんの作品本当に面白くて読んでいて楽しいです!!  (5月15日 11時) (レス) @page32 id: eb45467fdc (このIDを非表示/違反報告)
山田ささくれ(プロフ) - はにゃ?さん» はにゃさん、こちらでもコメントありがとうございます……!!アズ君は本当に一目惚れでした……!ストックをもう少し増やしたらアップしようと思ってます!!ちょっと展開が重くなりそうで怖いですがこれからも読んでやってくれたら嬉しいです!! (2023年2月8日 0時) (レス) id: 05f14a3afa (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ? - アズくんの小説少ないので書いていただき嬉しいです!更新楽しみにしています! (2023年2月6日 1時) (レス) id: ef6fdebb20 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:山田山本 | 作成日時:2022年12月19日 17時

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