サイレント・クンツァイト２ (ページ9)

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「……あ！」
「っわ、なになに」

突然思い出して大きな声を出した私に横にいた樹がびっくりした声を出す。

「忘れてた……」
「は？なにを？(笑)」

みんなの視線が集まってて、葵にアイコンタクト取ったらああ、と言う顔をして。

急いでロフトに駆け上がって〝忘れていたモノ〟と共に

「あの…ハッピーバレンタイン？」

ってみんなに差し出したらえーーー！マジで！？って大袈裟に喜んでくれる。

「この歳になってもバレンタイン貰えると思ってなかった〜！ありがとう！」
「今年はママ含めて２個も貰っちゃったぜ！」
「しかもこれ有名なところのじゃん！わざわざ買いに行ってくれたの？」
「お返し、何でも買ってあげる。マジで」

そんなに喜んでもらえると思ってなかったからこっちまで嬉しくなる。

「あの、…いつもありがとう、のチョコレートです」

って言ったらちょっと静まり返った後、

「……やっぱAちゃん、俺と結婚しない？」
「いやダメ！慎太郎はAちゃんにとってアクティブ過ぎるし、うるさい！…俺のお嫁さんにならない？」
「いやいやジェシーも大して変わんねーだろ(笑)免許持ってないし(笑)バイクでどこにでも連れてってあげるよ？俺なんかどう？」
「はあ？髙地はー…おじいちゃんだからダメでしょ！何より京本A、…良くない？響きも」

ぎゃあぎゃあ茶番が始まった、と笑ってたら樹が

「マ……ッッジでお前ら調子乗んな、ぶっ飛ばすぞ！！」

ってみんなを引っ叩き始めてあまりにも騒がしすぎて、おかしくてケラケラ笑いが出る。

そしたらそんな中静かだった北斗くんが

「でもAちゃん、今誰のものでもないじゃん。…ね、幸せにするから俺と結婚しようよ？」

って私にはにかむ。

「っちょ、マジでやめて、お前もかよやめてやめて…」

って樹が落ち込んだフリし始めたらみんなが爆笑し始めて。(笑)

わたしもなにこのくだり、と笑ってたら

「…いやアンタらマジで燃やすぞ」
「葵？」
「そのチョコレート、“私”と、Aから、だからな？あんまりふざけ倒したこと言ってると没収するかんね？」

みんなシーンと静かになって、チョコレートの箱を守る体制に入る。

「……A〜、葵が怖いこと言ってくる〜」
「チッ……オイ京本、こっち来い。お尻ぺんぺんの刑に処する」
「やだやだ！！！あっ、こっち来んな馬鹿！」

あーあー、追いかけっこ始まった。