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私の言葉にわかりやすく固まってる樹がいて、樹が私にしてくれたように。
樹の少し骨張った大きな手を掴んで。
ちゃんと考えてきた言葉を紡ぐ。
「樹が大事にしてくれてたから。…すごく、大事にしてくれてたから、」
「………」
「あの日。…樹と出掛けた日。言おうと思ったけどちゃんと、ちゃんと考えてからにしようって」
「……うん」
「…だけどね？考えれば考えるだけ…いつも私の横には樹がいて。嬉しいことがあった時、誰よりも先に樹に伝えたくなる」
「………」
「悲しいことや嫌なことがあった時、他の誰かでもなく樹に聞いて欲しい」
「………ん」
「寂しい時にはそばにいて欲しいと思うし、……樹もそうであって欲しいなって思ったの」
「……A」
「…心配性で、誰よりも優しくて。いつも周りのことばかり考えてて。その分周りに愛されてて、だけど少し不器用で。……私にちょっと過保護な樹が、…好きだよ？」
�爐泙澄�待っててくれてる？��
そう呟いた瞬間、樹の優しくて甘い香りに包まれて。
…抱き締められてる。
助けに来てくれたときから、初めて抱き締められたときから、私はこの腕の中が好きだった。
「……待ってた、ずっと、待ってた」
「…うん、待たせてごめんね」
「マジで……マジで好き」
「うん、わたしも樹が好きだよ、すごく、好きだよ」
籠った私の声に背中にまわされた腕にぎゅっと力が込められる。
少しの間、樹は私を抱き締めたまま動かなかった。
私も腕をそっと背中に回したらまた力が込められて隙間なんてないくらいきつく、抱き締められる。
「…樹、体冷えてる」
部屋戻ろう？って言ったら体が離されて、樹の困ったような顔が見えて。
「……マジで？…Aほんとに、」
「樹」
無条件の、無償の愛を
気づかないうちから、知らないところでさえも、
与え続けてくれた、樹。
数センチ。
……届くように。ちゃんと私の想いが、樹に届くようにと。
つま先に力を込めて、伸ばした手で包み込んだ先へ届けた温もりは少し冷えた樹の唇へと届く。
離れて交わった視線。
びっくりした顔をした樹に微笑みかけたら
樹はよく知るあの、片方の口角を上げた笑顔で優しく呟いた。
「……もっかい」
.
《サイレント・クンツァイト》
�狎鼎�な、無償の、無条件の愛��
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作者名：なち
| 作成日時：2021年9月23日 19時
