サイレント・クンツァイト２ (ページ15)

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後ろに隠していた両手を差し出した私の手から戸惑いがちに紙袋を受け取って。

「待っ、……え？」
「……樹だけだからみんなにはナイショね」
「…………手作り？」
「…手作り」
「マジで？……めっちゃ嬉しい」

そう笑った樹から溢れる息は白くて。

……ふと。

Aちゃんだ、って初めて私の名前を呼んだ樹を、

カフェの窓越しにびっくりした私の姿を見て笑う樹を、

あの日駆け付けて守ってくれた樹を、

寒空の下で私を待ってた樹を、

海辺で照れ臭そうに花束をくれた樹を、

真っ直ぐに私を見つめて「好きだよ」と呟いた樹を、

今までそばに、隣にいた樹を思い出して。

「……樹、いつも優しくしてくれてありがとう」
「…………」
「…そばにいて、…守ってくれてありがとう」
「Aなに、」
「ずっと、好きでいてくれてありがとう」
「待って、お前…」

「あのね？…すごく、………すごく好きだよ、樹」