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「次の日、俺樹と会ったんだけどさ」
マジで、……マジであの時手が出そうだった。って樹がすげぇ怖い顔で言ったかと思えば、守ってやれなくて悔しい。って今度はすげぇ落ち込んでたの、って。
慎太郎くんの言葉に目を閉じてしまう。
言葉だけでその樹の姿が目に浮かぶ。
…守ってくれたじゃん、樹。
あの時だけじゃなく、ずっと守られてきたよ私。
目を開けたら慎太郎くんは優しい顔していて、それから視線を樹に向けて言う。
「しかもね？樹、一回ジェシーときょもに怒られてるからね」
「え？どうして？」
「……結構樹遊び歩いてたでしょ、前まで」
「…あ、うん。出逢った頃そうだった」
「ジェシーのバイト先、行ったでしょ？樹と」
「うん」
あの後も樹はAちゃんの名前、俺らといる時もよく口にするようになったりしてて。
ある日、フツーに飯食ってたらジェシーが珍しくマジなトーンで「…どっちも大事な友達だから言うけど、半端な気持ちならやめてね樹」って言ったんだよ。Aちゃん傷付けたりしたら樹でも許さないって。
そしたら樹もは？なんだそれ、ってちょっと怒って。それにきょもが「今まで遊んできた女の子と、違うんでしょ？……マジでちゃんとしないと…大事にしないと。嫌われるよ」って。
まさかその２人にそんなこと言われると思ってなかったのかその時は樹黙ってたんだけどさ。その後すぐ、変わったんだよね。あの樹がマジでAちゃん以外の女の子と関わり持たなくなって、時々やっぱ言い寄られたりしてたけどそれも上手く断ってて。それ見て俺らマジなんだな、って思った。
自分の知らない樹がそこにいて。
自分の知らない優しさが、愛情が、そこには溢れていて。
「…慎太郎くん、私今すごく泣きそう」
「ええっ！？待って待って？俺、樹に殺されるから！」
「っえ、なになに、なんの話……慎太郎、お前なにした？」
「なっ！なにもしてないよ！！ねっ！？Aちゃん！！」
「うん、なにもされてない。泡が目に入っちゃっただけ」
「は？ちょ、洗え！」
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作者名：なち
| 作成日時：2021年9月23日 19時
