サイレント・クンツァイト２ (ページ1)

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約束してた月曜日。

『１０時に家迎え行くからあったけーカッコして来て』

とだけラインが来て、わかったと返信してから特に連絡を取ることもなくそのまま週末が過ぎた。

朝弱い樹が大丈夫かな、ってちょっと心配になったりして。

そういえば来週末の集まりの時、何する？って８人のグループラインが動いてた。

慎太郎くんやジェシーくんがピザ取ろ！俺花火やりたい！って騒いでて樹がピザはいいけど真冬に花火は危ないからダメ！って怒って。

いじけたジェシーくんがお猿さんのスタンプでグループ荒らしてた。

どこに行くのかすら伝えられていないから迷いに迷って大きめのウールニットにスキニー履いて、ボアのついたレザージャケットを羽織る。

靴は歩きやすいペタンコのショートブーツにした。

髪の毛はゆるく巻いて下ろした。

『おはよ、起きてる？』
『おはよう。起きてるよ』
『着いたら言うわ』
『わかった』

樹と２人で出掛けたことなんて何回もある。

２人が好きなシリーズものの映画も観に行ったし、飲みに行ったことも、ご飯食べに行ったことも、樹の買い物に付き合ったこともある。

だけど今日は樹が〝デート〟だと言うから。

それはきっと今までとは関係性も同じようで、少し違くて。

〝意識して〟という樹の言葉通り、ちゃんと意識してる。…というかしてしまう。

今日でいい方向にも、…そうじゃない方向にも。

たった少しの事で何かが変わってしまうような、そんな気がして少し怖くなった。

今まで築き上げてきた樹との関係性は私の選ぶ選択肢ひとつできっと大きく変わる。