サイレント・クンツァイト (ページ32)

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その次の講義を葵と隣で受けてお腹空いたからお昼食べよう、と食堂へ向かえば、

「あ！Aだ！」

奥のテーブル席から大天使が大きな声で私の名前を呼ぶ。

「きょも声大きいよ！(笑)」
「は？慎太郎のが大きいじゃん！」
「なっ！俺はいつも大きいからいいんだよ！」
「なんだそれ！意味わかんな！」
「ねえマジで静かにしろお前ら」

髙地くんの優しい雷が落ちて静かになる。

…あーあー、黙ったかと思えば舌打ちし合って今度は本当に髙地くんのげんこつが降る。

それがおかしくて笑ってたらふと視線を感じてその方向に向ければまた、樹と目が合って笑われる。

……甘い、なんか、甘い。

一緒にご飯食べよ！って京本くんが断れないお誘いしてくれたから食べることになったけど、樹の前と横は今ちょっと……、と思って北斗くんと慎太郎くんの間の席に座ろうとしたら、

「Aはこっち」
「っえ、」

腕を引かれてそのまま反動で樹の横に座らされる。

「じゃあ俺ここ！Aの横！」
「葵ちゃんはこっち座んな」

大天使が私の反対側の席、髙地くんが座ってたところぶんどって私の正面に慎太郎くんが葵を誘導してくれて。

…ねえほんとにちょっと待って、と動揺してる私を隣で樹は満足そうに見て笑ってる。