サイレント・クンツァイト (ページ17)

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曲がり角に差し掛かろうとして、時間を確認しようとスマホを取り出した時、後ろから走ってきたワンボックスの車が速度を緩めて私の少し先で止まった。

「あれ、こんばんは〜。かわいーね、お姉さんひとり？」

運転席の窓から声をかけられて足が止まった。

「……いえ、」

直感的に怖い、と思った。

後部座席の窓が開いて見えたのは３人の知らない男の人たち。

そのまま無視して通り過ぎようと、歩き出したら車から２人、降りて来て腕を掴まれた。

「ちょ、待って待って(笑)」
「今一人じゃん！トモダチって何人で来てんの？」
「は、離してください、」

…どうしよう、どうしよう。

辺りを見渡しても人はおろか、車が通る気配すらない。さっきまでいたコンビニが離れた場所で光っているのが見える。

「今からコイツん家で集まるんだけどおねーさんも来てよ。」
「……いや、あの、結構です。友人と来てるので、」
「じゃーそのオトモダチも後で呼べばいいじゃん？ね？」
「本当に、大丈夫なので…、」
「俺らは全然大丈夫じゃないんだけど！(笑)」
「じゃあさ、連絡先教えてよ」

ね、いいでしょ？と肩に手を回される。

自分が置かれている状況を理解しようと脳がフル回転する中で、ただ一つ分かっていることは危ない、ということ。

「おーい、怖がってんじゃん(笑)やめろよ(笑)…じゃあ送ってってあげるよ。それならいいでしょ、ね？」

運転席に乗ったままの男の人がそう言って他の２人とアイコンタクトを取って、笑う。

「あの、本当に、大丈夫なんで…すぐそこだし、」
「すぐそこなら余計に乗って行きなって！」
「とりあえず、車乗ってよ。悪いことしないからさぁ？」
「……いやっ、あの、」

掴まれたままの腕をぐっと引くと、強い力でそれを阻止される。ケラケラと馬鹿にしたかのように笑って、肩にまわされた手にも力が入った。…逃げ場がない。

こんな時間の大通りから外れたコンビニしかないような裏道に、他に来る人もいない。

ふと思えばこんなに人通りのない、暗い道をどうして一人で来てしまったのか、今更後悔しても遅い。

…こわい。どうしよう。コンビニに走って助け求める？でも、この状況じゃどう考えても逃げられない、追いつかれて捕まる。

ドラマや映画でしか見たことのないようなどう考えても危ない状況をやっと脳が理解し始めて手が震え始めた時、握ったまま力が入っていたスマホが震えてるのに気づいた。