サイレント・クンツァイト (ページ13)

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…思ってたよりも話しやすい。会話のキャッチボールのタイミングが合う感じ。

樹がくれたカイロ、温度を上げようとにぎにぎしてたら

「……っくしゅん、」

…寒すぎて急にくしゃみ出た。

今日本当寒いね、って北斗くんに話しかけようとして顔を上げたら、

ふわっと立ち止まった北斗くんの腕が降りてきて、

「えっ……」
「…貸してあげる」

さっきまで北斗くんが巻いてたもこもこのマフラーが私の首に巻かれる。

「えっ！いいよいいよ！大丈夫！」
「…鼻、赤いよ」
「…えっ、」

手で鼻を押さえたら、ふ、って笑われる。

「…寒いんでしょ？俺、今寒くないし」
「そんなの…、悪いよ。私ぜんぜん大丈、」
「夫、な人が鼻赤くしてくしゃみしません。カイロもずっと握ってるし。…これからもっと冷え込むんだから黙って巻いておきなさい」
「………ありがとう。…あったかい」

素直に受け取った私に、それならよかった、って微笑んだ。

少しだけ、…ほんの少しだけドキッとしたのを落ち着けるように、隠すようにボソッと

「今から変態なこと言うね。…北斗くん、いい匂いするね」って言ったら「変態なのわかってるならやめなさいよ。嗅ぐんじゃないよ、小恥ずかしい」って頭をぺんってやられて、また笑った。

北斗くんが貸してくれたもこもこなマフラーは私の首元から口元まで、柔らかい優しい匂いとともに覆った。