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…だから。
特別扱いは、しない。そう決めてたけど。
「…Aちゃん」
「これ、頼んでもいい？」
「…じゃあ、よろしくね？」
デスクにいたAちゃんに仕事頼む体でいらなくなった書類渡したら気付いてないのかかしこまりました、って柔らかい笑顔向けて受け取ってくれて。
トン、と貼り付けたポストイットを指差したら不思議そうな顔をして視線を向けてくる。
アイコンタクトでこっち来て、と合図した。
Aちゃんは数分の時差でちゃんと来てくれて。
何で呼ばれたんだとばかりの表情浮かべてて、アレもう要らないやつで、Aちゃんなにしてるかなと思って、って言ったら仕事してました、って返ってくる。
想像通りの回答に、想像通りの反応。
「……Aちゃん元気ない？」
そう問えば、図星とばかりの顔をしてなのに元気ですよ、って作った顔で笑った。
…とりあえず、仲良くなるところから。
「……じゃあ、…なにかあった？」
できるだけ、優しく。そう聞けば困ったような顔をして。
……笑っていて欲しい、なんてクサイことを思ったりしたんだ。
「…でも、また前みたいに戻れるようにがんばりたくて」
「その彼氏のこと、ほんとに好きなんだね？」
「はい」
「……じゃーあ、おまじないとしてコレあげる」
ポケットに忍ばせておいたソレを差し出せば、小さな手のひらを戸惑いがちに開いてくる。
たった３粒の飴にAちゃんは顔を綻ばせてキラキラとした眼差しで喜んでくれて、
どんなおまじない？と聞いたAちゃんに
Aちゃんが幸せになれるようにっておまじないかな？って笑ってみせたのに、
もう幸せだと、大事に食べると言った彼女に、ああ、好きだな、と思った。
彼氏持ちの、出逢ってたった１週間くらいの、まだよく知らない彼女に惹かれてる、なんて１週間前の俺に言ったら信じてもらえるのだろうか。
あのお前が？って笑われるんだろうか。
息抜きに付き合ってよ、って言った俺の言葉にわたしなんかで良ければ、ってまた困った顔したAちゃん。
……ずるいけど、気付かないフリをした。
�狎菁抬瓩領�場も、こうして偶然会話したこの場所も、利用させてもらうね？
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作者名：なち
| 作成日時：2021年8月18日 20時
