３４ ページ34
「忙しいの？…すごい急いでたみたいだけど」
「…忙しい、です」
ゆっくりと上昇していくエレベーターの中に二人きり。
俺が待ち望んでた空間なのに、Aちゃんから伝わるのは焦りと嫌悪感。
…なんで？
俺の頭の中にはもう、なんで、どうして、何がどうなって。たくさんの疑問と同じく焦りしかなかった。
勝手に巻き戻されて再生されるあの日の夜の出来事。
……踏み込みすぎた？
ソファに軽く腰掛けて眉を下げて大きな瞳からポロポロと涙を溢したAちゃんを抱き寄せたことがダメだった？
それともAちゃんが望んでいたのはただの優しい�爐�兄ちゃん�瓩世辰拭�
最も簡単に俺の余裕を無くして不安や焦りを産む。
頭の中で勝手に繰り広げられる展開に無理矢理幕を閉じて出来るだけ優しく。問いかけた俺の言葉に階数ボタンの前に張り付いて顔も、視線も合わないまま小さな声で返ってくる。
「………ねぇ、どうしたのそれ」
「……昨日の夜、ちょっと転んで、」
何があったの？あの夜から。
どうして誤魔化すの？
それと、
「…………ねえ、…なんでそんな離れてんの？」
早く着いてほしい、とでも言うかのように上部に点灯する階数ランプを何度も確認して、それなのにこちらを一度も見ようとしないAちゃんにもどかしさと焦り、心配、様々な感情が混ざって、逃げられないようにグッと近づいた。
「……そんなこと、なっ」
…うそ。どう考えてもおかしい。
やっと交わった視線はやっぱり焦りを含んでいて、ついこの前まで向けられていたモノとは別物だ。
「……っあの、」
「…なぁに？」
「ち、近いです……」
「だってAちゃんの様子がおかしいから」
…言ってよ、俺、助けてあげるから。
守ってあげるから、頼ってよ。
そんな想いも虚しく、Aちゃんは一貫として�牴燭任發覆き瓩魎咾�。
「そんな急に避けられたら、傷つくじゃん」
「……避けてないです、あの、ほんとに急いでたから…」
「…………そう？…なら、いいんだけど」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2377人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なち
| 作成日時：2021年8月18日 20時
