シークレット・ランデブー (ページ33)

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次の日。

お昼休み、外で済ませてエントランスを潜ったら受付前に焦がれてた背中を見つけて自然と口角が上がって。

「あ、Aちゃんとユウリちゃんだ」

昨日の会話を思い出してニヤニヤするユウリちゃんと、…いつまで経っても振り返らないAちゃん。

隣で不思議そうに……A？って名前を呼ぶユウリちゃんに余計に違和感を覚えて、歩み寄って横から顔を覗き込んだら華奢な肩が少しビクリ、と揺れて外行きの挨拶が返ってくる。

…と、同時に見えた顔は何とも言えない顔してて、かわいいAちゃんとは不釣り合いな大きなガーゼが目に止まって思わず目を見開いた。

…なに、ソレどうしたの、なにがあったの。

喉元まで込み上げてた言葉は口から出る前に慌てた様子のAちゃんによってかき消される。

「あ……わたし午後までに準備しなきゃいけないものあったの忘れてた」

一度も視線が交わらないまま、その視線を不自然に揺らして不自然な口実を残して逃げるように去ってくAちゃん。

ユウリちゃんもその後ろ姿に驚いた顔で俺の顔を見る。

「どうしたんだろう…」
「なんかあったの？」
「いや…さっきまでは普通だったんですけど、」
「……ねぇ、あのガーゼ。まさか彼氏とかじゃないよね」
「…あ、アレは」

聞いた話に腹の中が熱くなるような感覚に陥る。
……マジで何してくれてんの？ソレ手あげてんのと変わんなくね？

「…でも、多分その事じゃない気がします私」
「なら俺、か」

とりあえず話してみるね、ってユウリちゃんに告げて走ってったAちゃんの後を急いで追う。

きっとオフィスに戻るのには……と思ったら俯いたままエレベーターに乗り込むAちゃんを見つけて閉まる寸前の扉を無理矢理こじ開けた。

「…ごめんね、俺もオフィス戻るところだから一緒に戻ろ？」
「…………田中さん、」

驚いた顔をした後、俺だとわかって動揺した様子を見せる。

……どうしてそんな顔するの？

いつもなら嬉しそうな顔してくれんのに。