シークレット・ランデブー (ページ4)

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何かめちゃくちゃ問い詰められてんな、と思いながら自販機で缶コーヒー買ってたら聞こえた俺の名前。

…え、俺の話？

悪いとは思いつつ聞き耳立てたら、…なるほどね。(笑)

言うのかな、Aちゃん。と思って背を向けたまま聞いてたら

「あっ、えっと…………えーっと、あの、実はね、」

って諦めたかのように口を開くもんだから、え、言うの？と思って咄嗟に足が動く。

「ナイショ、つったじゃん」

名前を呼んで、ね？って確認すれば、２人が時差で驚いた顔を向けてきて、Aちゃんは至近距離にある俺の顔に動揺を見せた。

え、コレは動揺すんだ。

……可愛い。てか、何か…ずるい。

そのままフラッとフロアへ向かいながら掴み所のない彼女は他にどんな一面を持ってるのか気になっていた。

まあ、余裕があったのも初日だけで、次の日から予想通り忙しくなる俺。

元々いた役職や立場に俺が代わって入ったわけではなく、新しく俺の立場が作られたっぽいからマニュアルとか前例がない分、自分で考えて行動しなきゃいけないから頭を使う。

２つの部署を行き来して、資料の確認や打ち合わせの日程調整、外回りの詳しい内容を伝達、相談、報告。

……社内にいんのに万歩計、外回りした歩数になりそう。

「あ、北斗〜」
「…お疲れ様です、田中先輩」
「偉い。(笑)ちゃんと他所行きできんじゃん(笑)」
「…腹立つな」

あ、お前他所行きどうしたんだよ！って言ったら、ちゃんとしなきゃいけない時はちゃんとするからいいじゃん。…で、何？って俺の手元の資料を覗き込んでくる。

…まあそれもそうか、と次の外回り営業のことなんだけどさ？って話し合う。

じゃあそれで、って自分のフロアに戻ろうとしたら北斗の後ろの座席にAちゃんがいることに気付く。

フロアへ戻りながらも横目でチラッと見たら浮かない顔してパソコンに向き合ってて、あれ…って思った。

その後も数日間、見かけるAちゃんは笑ってたり、仕事はちゃんとしてるものの、なんとなく元気がない気がして。

部長へ資料渡しに行ったり、廊下歩いてく姿見かけたりしたけど、なんかこう、どことなく１オクターブテンションが低いというか、そんな感じがしたんだ。

どうしたんだろう、何かあったのかな。

心配になった。