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北斗から送られてきた電話番号に電話をかけたら、すぐに繋がる。
『………はい』
『あ、もしもし？田中樹です。ユウリちゃんの番号で合ってるかな？』
『っえ！？あ、ハイ、合ってます……』
『こんな夜遅くに突然ごめんね。それから連絡先も勝手にごめん。急用で北斗に聞いて電話しました』
『え？あ、それは全然……どうかしたんですか？』
『…実はさ、今Aちゃん俺ん家にいるんだけど、』
事の発端を説明して。
『流石にこのまま俺ん家に…ってのはダメかなと思って』
『……わかりました、すぐ行きます』
住所送るね、って電話切ったあとすぐラインで送信してリビングへ戻るとソファの背もたれにも寄りかからずにマグカップを持ったまま俯いてる小さな後ろ姿が目に入って、胸がキュッとなる。
あのまま帰せるわけがなかった、という俺の言葉にAちゃんはずっと、潤んだままの瞳を揺らし唇を噛み締めて困ったように眉を下げた。
「……大丈夫です、わたしは、」
「…これ以上、Aちゃんが傷つくのは嫌だよ」
どうかもうこれ以上、傷つかないで。
……傷ついて、ひとりで、泣かないで。
そう願いながら頭を撫でた俺にAちゃんはぽつり、ぽつり、と言葉を落とした。
本当はもうずっと前からなんとなく、どこかで。わかっていたと。
それでも彼を選んでしまったのは、居場所がなくなるのと同じと思っていたと。
無理矢理作ったように、困ったように笑ってそんなことを言う彼女を見て思ったんだ。
もう、我慢も遠慮もしなくていいよね？
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…許されるよね？
腕を引いて抱き寄せて。
今言える精一杯の言葉で。
「……もうひとりで泣かなくていいよ、寂しい思いも、悲しい思いも、しなくていい。……俺が守るよ」
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作者名：なち
| 作成日時：2021年8月18日 20時
