シークレット・ランデブー (ページ3)

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その日の数時間だけでわかったことがある。

Aちゃんはよく働く。

髙地がめんどくせ、って顔しながら社内を案内してくれてる中で何度か見かけた。

印刷室のコピー機で印刷してる姿、デスクで電話を取ってる姿、シュレッダーの機械のゴミを片付けてる姿。

午前の数時間の間に至る所でテキパキ……ではないな。

小さくくしゅん、とくしゃみをしたらゴミ袋に捨てたシュレッダーのゴミが軽く舞って焦ってる彼女の小さな後ろ姿を見て吹き出す。

…なにしてんの、あの子。(笑)

「…お前なに笑ってんの？(笑)」
「マジであの子なんなの(笑)」

次行くよ、次って少し先を歩いてた髙地が廊下で立ち止まってた俺の元に戻ってきて俺の視線を辿る。

見られてないかきょろきょろしながら舞った紙くずを必死に手で押さえ込んでる。(笑)

「ああ、宇野さんね(笑)可愛らしい子だよね…って何してるのアレ(笑)」
「くしゃみかまして慌ててる。(笑)」

って言ったら髙地もブッ、って吹き出した。

「宇野さん、隠れ人気ダントツ１位なのよ(笑)」
「…なにその隠れって」
「目立ってこうアプローチ受けたりとかしてないけど密かに人気あんの」

いい子、可愛い、癒される、って、と言われて、…他の野郎と同じなのは悔しいけど納得した。

プチハプニングが落ち着いたのかふぅ、と一息ついてデスクに戻ろうとした彼女は上司に声を掛けられて何やら仕事を頼まれてるようで。

にこにこしながら返事をしてるであろう姿を見て心底思った。……アーレはかわいい。

その後一通り案内してもらって、頼まれてた企画書に早速デスクで取り掛かって、あっという間に昼休憩。

社食で髙地とメシ食った後、まだ時間あるしとりあえずコーヒー買おう、とカフェスペースに足を運んだら……またみっけ。

仲良さそうに、…確か今日の朝受付にいた女の子とお昼ご飯食べてるAちゃんをガラス越しに見つけた。