シークレット・ランデブー (ページ18)

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始業からスタート予定の、繁忙期となる冬季に向けての大きな社内会議。

朝から社内はいつもよりバタついていて、その中の一人だった。

資料とパソコンを持って会議室へ向かえば、隣のフロアから並んで歩いてくるAちゃんと北斗を見つける。

…俺には見せないような表情を浮かべて、それを北斗は愛おしそうな目で見つめていて。

最も簡単に無くなる余裕を見繕って一足先に会議室へと足を踏み入れた。

今回はうちの部署からは髙地がメインで発表するから俺は空いてる座席に腰掛ける。

パソコンと資料を照らし合わせて確認してたら、

「…はよーございます」

と表向きで少し雑な挨拶。

「ん。はよ」

北斗が隣の椅子を少し雑に引いて腰掛ける。

……コイツやっぱ顔は良いんだよな。ムカつくけど。

と思いながら睨んでたら気付かれて…何だよ(笑)って言われる。

「…いーや？何も」
「何もって顔じゃねえだろ(笑)」
「……なんかマジお前腹立つからクビ」
「うーわ！クソブラック！(笑)パワハラ〜」
「敬語使おうね？松村くん？」

軽口叩いてたら部長達も入ってきて仕事モードにお互い切り替える。

プロジェクターを使っての会議になるからブラインドが下げられて、蛍光灯も暗めに下げられる。

都度都度で発言しつつ、必要なことがあれば書き込んで。

隣の北斗チラッと見たら何だかんだちゃんと参加してちゃんとメモ取ってて、さすが３年目で業績優秀なだけあるわ。

そっと、会議室の扉が開いて廊下の蛍光灯に照らされて誰か入ってくる。

視線を移したら……Aちゃんだ。

「うわ…アイツ大丈夫かアレ(笑)」

ズッコケそう、って小声でボソッと呟いてる北斗の言葉通りお盆にすごい数の湯飲み乗せてぷるぷるしながらゆっくり歩みを進めてるAちゃん。(笑)

プロジェクターに映り込んじゃわないように、邪魔にならないように存在消してお茶配ってる姿がただの小動物。

　
上の人間からちゃんと配ってるし、皆ありがとう、って言って受け取って優しい笑顔向けてるの見ると本当にあの子愛されてるな、と思う。