シークレット・ランデブー (ページ16)

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家に着いて、風呂だのメシだのテキトーに済ませてひと段落したところで明日の会議の為の資料をパソコンで最終チェック。

…と、伏せて置いてたスマホが通知を知らせる。

『似てますか？(笑)田中さんの目にわたし、どんな風に見えてるんですか！(笑)』

家に帰宅してから柄にもなくチラチラとスマホの画面確認して待ち焦がれてた相手からの返信に、即スマホのロック解除してトーク画面を開く。

……てか、この時間に返信来るってことは。

画面を３回タップして、電話をかける。

『も、もしもし』
『…もしもし？Aちゃん？』
『はい』

数回コールした後、コール音が止んで緊張したような声が聞こえる。

『…今平気？』
『あ、大丈夫です！……どうしたんですか？』
『……どうしたの、はAちゃんじゃない？』
『…え』

どうしたんですか、って明るく見せた声色に

この時間に返信返ってきたから。…また彼氏帰ってこなかったのかなと思って、と返したら電話越しでもわかるくらい、寂しそうな声であった出来事を話してくれたAちゃん。

『………そっか。……さみしい？』
『…さみしい、です』
『…………Aちゃんさ、……』

Aちゃんさ、俺にしなよ。
その優しさも思いやりも愛情も、俺にちょーだいよ。

…寂しくなんてさせない。

きっと久しぶりに一緒に過ごせる、と楽しみにしてたんだろうな、とか。仕事が急に入ったと出て行く彼氏に仕方ないことだと頑張って飲み込んで笑って送り出したんだろうな、とか。…その後残された部屋でひとりぼっちでいたことを思うと、切なくなるよ。

そんな、聞いたこともないような、昼間一緒にいた時には想像もできないような、心細そうに元気のない寂しそうな声を誤魔化すようにへへ、と笑ってみせる電話越しの声に思わず言葉が出掛かる。

……まだ。今じゃない。

『…………いや、なんでもない…寂しくなったら、』
『はい』
『連絡しておいでって言ったじゃん、俺』
『…でもわたし、そしたら毎日さみしい、かも』

……ああ、もう。

聞こえないようにため息をつく。

少しだけ、本音を。弱音を。

俺に溢してくれたことに安堵して。