シークレット・ランデブー (ページ2)

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初めて君と言葉を交わしたあの非常階段。

人の第一印象は３秒で決まる、とどこかで聞いたことがあったけどそれを実感したのは初めてだった。

街灯の淡い灯りしかないような暗い非常階段。

物音に振り返ったそこには驚いた顔をした君がいて、階段を降りて捉えた姿に〝無色透明〟と第一印象を抱いた。

何が、どうして、を説明できないのが第一印象なのだと思う。

時間にすればたった数分。交わした会話もありきたりなもの。

あまり周りにいないタイプの女の子だと思った。

男慣れしてない感じなのに、どことなく投げた矢はスルーされる。……多分無意識。というか、気付いてさえもいない。

会話の中で抱いたソレを出来心で試してみようと去り際に頭にぽん、と触れてみたけど横目で見た彼女は驚きはしたものの、顔を赤くするわけでもなく、動揺するわけでもなく、本当にびっくりした顔をしてた。

……これは多分レアキャラ。

希少価値の高いその天然記念物みたいな彼女が何となく、気になった。

今までの人生、女の子にはモテてきたと思う。…ずっと。

それから女の子とは〝上手く〟付き合ったもん勝ちだとも思う。

持たれた好意は応えられなくても拒否はしない。
そして誰かだけを特別扱いはしない。

その２つをモットーに関われば上手く生きれる。

幾度となくめんどくさい事になった経験があるからこそのこのスタンスなのを許してほしい。(笑)

ハッキリ断る事が優しさだと思っていたのだけれど、ハッキリ断ったら次の日から『思わせぶりな最低男』だと言われたり、態度に優劣がつくと知らぬところで揉めていたり。

それならもう誰にでも平等に。そして当たり障りなく上手く立ち回るのが一番楽だった。

次の日、転勤初日となったその日。

挨拶にまわっていたらデスクに座るAちゃんを見つけて口角が上がる。

…なんで朝イチでそんな難しそうな顔してパソコン見てんの？(笑)

去り際に声をかけたら昨日見た驚いた顔をしてて、前に立ち挨拶した時に合った視線にわかりやすく慌てふためいてて、その素直な表情にかわいいと思った。